長谷流悪夢の撃退法

今度こそお約束どおり長谷×稲葉です。

書いたはいいけど……長谷壊れすぎ。（爆笑）
なんだかとんでもない方向へ走ってしまった気分です。
こんなんが初の長×夕でいいんかな……（遠い目）

実は週末風邪引いてまして、今も引いてる最中なんですが、夜になるとひどくなるんですよ。
咳で目が覚めて眠れなくなる。
そんな時、せっかくおきてるんだからネタ考えよう！
千晶と稲葉がいちゃついてたり、稲葉がアパートのお風呂でいろんな人と裸の付き合いする話考えよう！
そうだ、いっそのことアドベンチャーゲーム風にして、稲葉主人公で妖怪アパートの男キャラ全て落としてやろう!!
とか……アホなこと考えながら苦しい夜を乗り切っています。

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クリを間にはさんでいつものように布団に入る。
男二人に子供一人。稲葉のシングル用布団で寝るにはかなり狭いが、俺は気にしていない。いや、むしろ気にしていないどころか、かなり満喫していると言っていい。
うるさい家族のいないこの部屋で、俺になついてくれているクリに、稲葉が目と鼻の先だ。
俺の家に稲葉を呼んだ場合、ちゃんと客用布団があるおかげで一つの布団で寝ることはまずない。だから、俺は休みがとれると真っ先にこのアパートを目指すことにしている。

仙台にある本家へのお使いという、かなりブルーな用事を済ませてからアパートに訪れた俺を、稲葉とクリは暖かく迎えてくれた。
るり子さんの激ウマ夕食を堪能してから、稲葉と一緒に風呂に入った。クリも後ろについてきたので一緒に連れて入り、二人でクリを泡だらけにした。背中の流しっこをしたり、クリの世話を焼いたり、新婚気分を味わった俺は大いに満足して一日を終えようとしている。

布団に入った俺は、体が疲れていたのですぐに眠りに落ちるかと思いきや、なぜか寝付けなかった。
暗くした部屋の中、わずかに差し込む星明り（のようなもの）を頼りに、よく寝ているクリ越しに、稲葉の髪の毛に触れてみる。少しまだ乾ききっていない髪の毛をもてあそんで遊んでいると、不意に稲葉が身じろぎをした。
「うん……、やめろよ千晶……」
「…………」
おいおい稲葉よ。今誰と間違えた？　千晶って例のあの千晶だよな。
稲葉の高校の担任教師で、歌が超絶上手くて、ちょっと得体のしれない色男・千晶直己。
俺がむきになってなおも首筋あたりにある髪の毛をいじくっていると、稲葉がくすりと笑い声を立てて俺の手を払いのけた。
「くすぐったいって、千晶」
「……」
カッと頭に血が上りそうになったが、俺は絶えた。稲葉はまだ寝息を立てている。寝ボケて俺と間違えているんじゃなくて、夢を見て言っているわけだ。そう、たまたま千晶先生の夢を見ているときに、俺がちょっかい出したからで……。
って、なんで俺じゃなくて千晶の夢見てんだよ稲葉！
俺はたまりかねて稲葉の鼻をつまんだ。
「ふっ、ん……んんっ！？」
呼吸が乱れ、稲葉の目がぱっちりと開いた。
「お目覚めか、稲葉」
「ぷはッ、ってなにすんだよ長谷！」
つまんでいた俺の手をはたき落して、稲葉は上体を起こした。少し呼吸を整えてからじろりと睨まれる。せっかく寝ていたところすまんなとは思うが、夢の中とはいえ自分ではない男といちゃつかれて黙っていられるほど、俺はまだ物わかりのいい大人ではなかった。
「お前がうなされてたから起こしてやったんだよ。嫌な夢でも見てたんじゃないのか？」
平然と嘘をつく。
「へ？　あぁ、そういやなんか夢見てたかもしれないな……。別にいやな夢って感じじゃなかったと思うけど……」
「いいや、お前寝言でやめろとか助けてくれって言ってたぜ？」
「えっ、マジ？　もしかしてそれで起こした？」
逆に気を使われてしまい、俺の良心はチクリと痛んだが、俺は心を鬼にして稲葉に向かってほほ笑んだ。
「いいんだ稲葉、気にするな。俺がそばにいるあいだは悪夢からでもお前を助けてやりたいんだ」
くさいセリフに、稲葉が少し照れてうつむく。
ほんと、稲葉って直球に弱いんだよな。照れながらもうれしそうな表情の稲葉に、俺は抱きしめたい衝動にかられたが、いかんせん間にクリが寝ているので、実行は出来なかった。
だから、そおかわりに手を伸ばした。
「なに？」
「手、つないで寝ようぜ。怖い夢見ないように」
「なっ、いいよそんな子供みたいな」
「まだ子供だぜ？　俺達。子供同士怖い夜は手をつないで身を寄せ合って寝るもんなんだよ」
そう俺が言うと、稲葉は少し迷ったけれど、俺の手に手を乗せて横になった。
クリが間にいるせいでもう稲葉の顔は見えないが、手に力を入れたら、同じ力で握り返してきた。
たまらない……。
にやけ切った顔で幸せをかみしていると、気配が伝わったのか稲葉が大きくため息をついて一言。
「遊んでないで早く寝ろよ」
はいはい。お前は朝が早いんだったな。申し訳ありません。
俺は今度こそやすらかな眠りに落ちた。