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都庵

現在は「妖怪アパートの幽雅な日常」「The MANZAI」の女性向け二次創作等の物置。オフラインの自家通販もやってます。

   

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セブンデイズ・・・火曜日の千晶直巳

サーバーメンテナンスの前にアップしておきたかったのにしくじった。(苦笑)

早速火曜日をアップです。
やはり千晶先生になりました。
どうも私は書き出すとダラダラ長くなる癖があるようなので、もう少し短くなるように努力してみました。

そうそう、微妙に月曜日とつながっていますので、月曜日の稲葉夕士を読んでからお読みくださいませ。

ここまで書いて、あまりカップリングらしいモノが書けていないなぁと実感。
千晶稲葉風味?では有るけど・・・。

妖怪アパートを読んでくれた友人が長谷×稲葉だというので次回は狙ってみるかな・・・。

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拍手[20回]



朝、俺は携帯のアラームで覚醒した。
覚醒はしたが、まだベットからは降りない。俺の脳みそはまだ眠ったままだ。枕元に置いたリモコンで隣の居間のテレビをつける。
朝のニュースを聞きながら、徐々に意識がはっきり強いてくると、目を開き、手足を伸ばす。朝のニュースが天気予報のコーナーへ変わって、俺はやっと身体を起こした。
アラームがなってから約十五分。
俺の起床はこんなもんだ。
朝食はトーストに珈琲。休日は何も食べないでも平気だが、仕事のある平日は必ず朝何か食べるように心がけている。
仕度を整えたら戸締りをして駐車場へ向かう。駅からはちょっと離れているし、何か買い出しに行くときに便利なので、出勤には車を使っている。あと、羽目をはずしたヤンチャどもを運ぶのにも便利だしな。



火曜日の朝は職員会議がないので、出勤簿をもって担当クラスへ行く。ウチのクラスは不登校も、保健室登校も、いじめも無い。いたって手のかからないやつらだ。
委員長はしっかりしてるし、女子の多いクラスだから男子はおとなしいやつらが多い。ちょっと女子のパワーが強すぎるくらいだ。二年からの持ち上がりで、クラス内でも各々のポジションが安定しているから、というのも有るのだろう。
出席を取って、今日の日直に日誌を渡し、早々にホームルームを切り上げる。今日は1限から3限まで授業が詰まっていた。
4限目は、昨日やった証テストの採点をして、早めに昼食をとることにする。4限の空いている教師と一緒に出前をとって食事を済ませると、俺は一服するために屋上へ向かった。
授業の声しかしない廊下を通り過ぎ、屋上までの階段をゆっくり登る。昨日も天気が良かったが、今日も空は青く、白い雲が所々にぽっかり浮かんでいるだけで、気持ちがよさそうだ。
屋上へ出ると、俺は給水等の上登った。ここが一番高くて見晴らしがいい。
タバコに火をつけて煙を大きく吸い込む。朝から三つ授業をこなしたが、まだタバコが美味く感じる。体調がいい証拠だ。
「そういや、最近点滴打ちに行ってないな……」
学校行事があるときはガタガタになるが、無理をしなければ金曜日までの一週間、好調をキープできるようになっている。
前の学校に居たときは、週の後半になると、だるさが溜まってしまって、授業の無い時間に抜け出して、よく点滴を打ちに行ったものだった。
「やっぱり、あいつのおかげなのかねぇ……」
あいつとは俺のクラスの稲葉夕士。一言で言うなら、……まぁ、「変わったやつ」だ。
中学のときに両親を事故で亡くして以来、親戚に引き取られるも、高校進学を期に一人暮らしを始めている。うちの学校には学生寮もあるが、いったんは入寮するも、一度暮らしたアパートへ戻り、現在もそこに住んでいるという。
3食賄い付きのアパートだそうで、本人はたいそう気に入っているようだ。一度、家庭訪問をしようかとも考えたが、服装の乱れも無く、勉強もできる。少し斜に構えるようなところも有るが、付き合ってみると真面目で世話焼きで面白い。
まぁ、ここまでなら問題の無い一般生徒と変わりは無いが、どうやら稲葉には俺のだるいのを治す力があるらしい。治すのが正しいのか癒すのが正しいのか引き受けるのが正しいのかはわからないが、とにかく、俺が体調悪い時は必ず気づいていると思う。
行事で俺がかなり参っていると、稲葉はいつのまにか傍にいたりすることがある。そして「ちょっとだけだから」といって、通称ツボマッサージを行う。
稲葉は俺の胸に手を当ててただじっとしているだけだが、徐々俺のだるさが無くなって体が軽くなったような感じになる。それと比例するように、稲葉の呼吸は荒くなった。最初のときなんて、うっすら汗までかいていて危ないヤツかと思ったほどだ。俺のダメージを治すのに、稲葉の身体に何らかの負荷がかかっているのならやめると促したが、稲葉は問題ないという。たぶん「加減はわかる」という意味だと思う。
「でも、ぜ~は~言ってたら気になるっての。ん……? でも、最近はそこまでひどくなってないな。呼吸が少し短くなって、終わったあと大きくため息つくくらいで。あいつ……コツでもつかんだのか?」
とにかく、あいつのおかげで俺は点滴に通わずに済んでいるのは、確かだった。
そんなことを考えている間に、4時間目の終了のチャイムが鳴った。とたんに構内がざわつきだし、生徒の声がこだまする。昼飯を買いに走るものが校庭を横切っていくのが見えた。
「そろそろ、かな……」
携帯灰皿に灰を落としていると、屋上のドアを開ける音が聞こえた。
上履きの足音が迷い無くこちらに向かってくる。給水等へ登るはしごの金属を持つ手が覘いた。
「よう」
「あ、千晶」
顔を出したのは稲葉だった。
「なに? 今日は早くねぇ?」
「早飯だったんだよ。5限が始まる前に進路相談入れてんだ」
「ふ~ん」
稲葉は弁当箱と文庫本を片手に、給水等の上に上がってきた。
ここは、元をただせば稲葉の特等席だったらしい。そこに俺が赴任してきてシェアするようになった。
昼休み、弁当持込の男子は少ないから、稲葉はたいていここで食べている。雨なんかは教室で食べているようだが、教室で食べると田代たちに横取りされて食いぶちが減ると口を尖らせた。
稲葉の弁当は、アパートの賄いさん特製で、ボリューム重視だが、栄養バランスを考えたもので、稲葉はいつも美味そうに飯を食っている。
俺は短くなったタバコをもみ消し、もう1本火をつけた。美味そうに食う稲葉に当てられたからだ。
「最近調子よさそうじゃん」
「おう、まぁな」
「タバコ美味そうだもんな。でも、ほどほどにしたほうがいいぜ、明日検診だから」
「はは、そりゃそうだ。でも、今日我慢したところで、悪あがきだろう」
「確かにな、でも気分的に努力してみたいって言うか……」
そう言って稲葉は牛乳のパックを取り出した。
「なんだ、おまえ身長気にしてんのか? 学年的にお前は低いほうじゃないだろう」
「そうだけど、昨日体重量ったら、去年とほとんどかわってないんだよ。んで、気になって今朝ちょっと試しに測ってみたら、やっぱり去年とほとんど変わってねぇの」
それで、牛乳かよ。稲葉は、食い終わった弁当箱を閉まって、牛乳パックにストローを突き刺した。
俺はなんともいえない愛しさに絶えかねて、稲葉の頭に手を伸ばした。くしゃくしゃと髪の毛をかきまぜる。
「やーめーろーよー」
ストローを銜えたままにらみつけてくるが、手は払いのけてこないので、そのまま頭をなでながら続ける。
「お前の体つきなら、まだ伸びるさ。大学生になってから身長十センチ以上伸びるやつなんて、ざらにいるんだぞ」
「…………うん」
そこで素直にうなずいちゃうんだよな、お前って。いつもは冷静で、どこか年寄りくさいことを言うようなヤツなのに、たまに可愛くなるときがある。
「……せめて千晶くらいは身長ほしいんだよな。……って、いい加減手をどけろ。灰落ちるぞ」
「おっと、そうだった」
俺は稲葉の頭から手を離し、携帯灰皿に灰を落とした。いつの間にか手元のほうまで火が来ている。俺は最後に一息吸い込み、タバコをもみ消した。
時計を見ると、そろそろ進路相談の時間だった。
「それじゃぁな」
「はいよ」
稲葉は読書モードに入り、俺は服についた汚れを払って階段を下りた。



進路相談を終え、午後の授業を一時間こなした後は、調査票だの、進行状況だのをまとめたりする時間に当てた。放課後の時間もあるが、ヤンチャするやつらをかまう時間にあてたかった。
6時間目が終わり、終礼を済ませて職員室に戻ると、ちょうどアスカたちが顔を出しに来た。
進路指導室で無駄話をして、職員室に戻ると、職員会議のメモが貼ってあった。同僚の麻生が気がつき、会議の内容を教えてくれる。
「夏の夏期講習や合宿の手配とかの件らしいですよ」
「もう夏の手配ですか、早いですね」
「3年は受験ですからね、なんでもかんでも前倒しです。春のうちに夏の手配をして、夏になったら秋の体育祭や文化祭の手配です」
職員会議は五時過ぎまでかかった。
その後、今日は万引きとかの情報は入ることなく、穏やかに終業の時間を迎えた。俺は受験組み用の小テストをパソコンで作りおえてから学校を後にする。
外はもう暗くなっていた。



帰りがけ、友達からお誘いのメールが入ったが、昼休みに牛乳を飲む稲葉を思い出して、断りのメールを打った。
「今日ぐらいは禁酒したほうが良さそうだしな」
俺はふと思い立って、近所の定職屋で夕飯を食べた。さばの塩焼きに大根おろし、ゴマ入りの厚焼き玉子、野菜の煮物と、大根のサラダ、熱々ご飯にお味噌汁。
健康的な食事を終え、家に戻った。
明日の健康診断は、生徒たちとは検診項目が異なり、バリウムを飲んで胃カメラをやったりするので、食事制限がある。朝食は食べられないので、俺は早々に風呂に入ってベットに入ることにした。
いつもより二時間は早い。さすがに眠気が襲ってこないので、以前買ったままそのままにしていたミステリー小説を引っ張り出して読むことにする。
刑事もので、読み進むうちに楽しくなってきた。久々の読書で、すっきりした気持ちで読了したとき、時間はもう夜中の3時5分前だった。いつもの寝る時間はとうに過ぎている。
「おいおい、詰めが甘いな俺……」
俺は電気を消して、今度こそベットにもぐりこんだ。

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(^p^♭)

  • by 彩夏
  • 2012/02/16(Thu)16:10
  • Edit
ヤバい ヤバい最っ高!!
都庵さん何すか!?神ですか!!
本当見ていてニヤニヤ×2とまらぬ!
これからも頑張ってください♪

Re:(^p^♭)

  • by あみや都
  • 2012/02/23 17:58
最っ高っすか!?
あ、ありがとうございます。
ニヤニヤしていただけるようなお話を
ニヤニヤしながら頑張って書きますね!
コメントありがとうございました。

あみや都

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