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都庵

現在は「妖怪アパートの幽雅な日常」「The MANZAI」の女性向け二次創作等の物置。オフラインの自家通販もやってます。

   

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セブンデイズ・・・月曜日の稲葉夕士

なんかサクサク書いちゃいました。
日常モノ。

一応シリーズの予定です。
第一回目は主人公稲葉夕士。
カップリング色よわいですが、起床から就寝まで、きっとこんな生活してるだろうなと思ったので、コレもありかと・・・。
このシリーズは一人一日なので、あと六人の日常を書くことになるのですが、大丈夫だろうか自分・・・・書ききれるのか?(苦笑)
とりあえず、二回目は火曜日。千晶か田代か・・・はてまたクリか。
悩みどころです。

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拍手[29回]



いつものように起床して、朝の修行。コレはもう日課になってしまっているので、たいして苦にならない。もともと朝は弱いほうじゃなかったし、あんまり夜更かしするような趣味があるわけでもなし。るり子さんのおいしい朝飯にありついて、いたって健康優良児の俺は学校に出かけた。



朝、職員会議が長引いたのか、担任である千晶は少し遅れて教室に入ってきた。相変わらず、朝は弱いうようでだるそうな歩きかただ。それでも顔色は悪くない。
土日でだいぶ休めたんだろうな。
月曜の朝のホームルームは少し長めだ。軽く出席を確認して、連絡事項と、今週の予定が千晶から発表される。
「今週水曜日に健康診断がある。暴飲暴食には気をつけろ。以上だ」
千晶の声に全体がざわつく。「うへ~」とか「ダイエット間に合わない~」とか。三日じゃどうにもならんだろうと思う。それより、暴飲って、俺たちはまだ未成年だっての。
「水曜は健康診断か…。ってことは、千晶ちゃんも健康診断受けるのよね。もしかしてシャッターチャンス?」
横で田代が目をきらきらさせてこぶしを握った。
「おい、のぞきは犯罪だぞ」
「あら何よ、減るモンじゃあるまいし……」
「いや、あいつにも一応プライバシーってもんがあるからよ」
「何も全裸を撮ろうってわけじゃないわよ、安心なさい。そんなにハニーが心配?」
「……」
とんだやぶへびだったらしい。だいたい口で田代にかなうわけが無かった。
すまん千晶、俺には田代たちの野望を止めるすべが無い。
俺は心の中でこっそり謝った。



午前中の授業をまじめに聞いて、昼はとっとと屋上へ上がる。うっかりしていると田代たち姦し娘に囲まれて、るり子さんの特製豪華激美味弁当を横からつまみ食いされてしまうからだ。幸い今日は快晴。日向ぼっこしながらのランチは、また格別なものだ。
給水塔の上、いつもの指定席でのんびり横になって読書をする。
誰も邪魔しないこの空間は俺のお気に入りだ。
昼休み、残り少なくなってきた頃に、コツコツと聞きなれた靴音が近づいてきた。
「よう」
「おつかれ」
千晶はどっかりと俺の横に座ると、左手でタバコを取り出した。手早く火をつけると、大きく深呼吸をするように肺に吸い込み、煙を遠くへ飛ばす。
ほんのり千晶とタバコの香りが漂った。
ほっと一息ついた顔で、千晶は携帯灰皿を出してごろんと横になる。
俺は気取られないように注意しながら、千晶の胸の辺りをうかがった。胸にうっすらもやがかかって見えるが、これはそれほどたいしたことは無い。
もう何度も千晶をヒーリングしているせいで、およそどのぐらいが千晶にとってきついのか、俺は胸のもやで判断できるようになっていた。
なんだか俺って千晶専属のトレーナーみたいだな……。
読みかけの本にしおりを挟んで、俺は弁当を片手に立ち上がろうとした。月曜日の五時間目は体育だ。着替えや準備がある。
「もう、行くのかよ。まだ予鈴前だぞ」
ねっころがっていた千晶に、学ランのすそを引っ張られる。
「次体育なんだよ、着替えなきゃなんねぇし」
「あぁ、そうだったか」
「おいおい、自分のクラスの時間割くらいチェックしとけよ」
「お前たちはホント手のかからないいい子だからな~、安心してんだよ」
安心してほったらかし。よく取れば俺たちは信頼されてるってことなんだろうけど、意地悪く言えば手抜きってことになんねぇか?
まぁ、千晶に限って手抜きってほどのことはないんだろうけど、ちょっとだけ拗ねてみたくなってきた。
「ふ~ん、安心ねぇ~……、まぁウチのクラスで警察にご厄介になるようなやつは居ないだろうけど、俺は別のほうではなにかと用心しておいたほうがいいと思うけど」
俺は少しもったいぶって立ち上がった。
「……なんだよ」
「そういえば、水曜日の健康診断、当然千晶たち教師も受診するだろ? 田代がシャッターチャンスを狙ってるみたいだったっけな~」
「……」
「あいつ隠し撮りの名手だからな~…」
「……それがあったか……」
千晶はがっくりとコンクリートに沈んだ。
それを見届けて、俺は屋上を後にした。



午後の授業も無難にこなし、特に今日は部活も無いので俺はアパートへ戻った。
英語と数学の宿題をやっつけてから、桔梗さんと一緒に夕方の修行を一通り行う。最後に温泉につかってさっぱりしたら夕食だ。
今日は古本屋がお土産に持ってきた地ワインと100%濃厚ぶどうジュースをあけることにしていたので、妖怪アパートには珍しく洋風の食卓となっていた。大きなロールキャベツに、スモークサーモンの乗ったたまねぎたっぷりのマリネ。野菜たっぷりポテトサラダはぽくぽくのシャキシャキで、もうホント最高です! るり子さん!
隣に座るクリの世話をしつつ、今日もお代わりを二回ほどして俺は箸をおいた。
食後しばらくするとクリがテレビを指差したので、ニュース番組をつけた。するとクリは首を振り、腕をぐるぐるさせたりパタパタさせたりする。
「なんだクリ、テレビが見たいんじゃなくてゲームが良かったか?」
クリの重そうな頭がコクンと垂れた。俺はゲーム機を取り出して、クリに「30分だけだぞ」と釘をさしてから、ゲームをスタートさせた。
クリ自身はゲームができないから、俺が代理でコントローラーを握る。クリは画面に釘付けになって飛んだりはねたり、踊ったりを繰り返した。
約束どおり、30分で終了すると、クリが「もっと」とせがんだ。それでも、今日はおしまいと我慢をさせ、ぐずるクリをシロと一緒になだめてすかしていると、まり子さんがまり子さんが折り紙を持ってきてくれた。
鶴を折ったり、ヤッコを折ったり、だまし舟で遊んだり。まり子さんがいろいろ教えてくれたから、鶴くらししか折れなかった俺も、パンダや兜や紙鉄砲なんかをマスターした。
「お、折り紙か」
酒を飲んでいた古本屋がクリの手元を覗き込んだ。
「そうだ、古本で折り紙の本ってないんスか?」
俺が聞くと、古本屋はニマッと笑った。
あるのかよ……。
ふらっと居間を出て行った古本屋は、戻ってくるときに二冊の本を持って戻ってきた。それからは、お酒を飲んでた大人たちも交じって大折り紙大会となった。



12時を回った頃、俺は自分の部屋に引き上げてきた。明日も朝の修行がある。
「ほほ、今日もご主人様は非常に暖かいオーラで輝いて、素敵な一日となりましたな」
パジャマに着替えているとフールがひょっこり現れてきて、おでこがつま先に着きそうなほど大きくお辞儀をしてから口を開いた。
「まぁ、いつもの月曜日だったかな」
「それはようございました。時に、朝千晶様がおっしゃっていた健康診断とはなんでしょう?」
「あぁ、身長体重量ったり、視力検査とか胸のレントゲン取ったりとかするんだ。毎年この時期にな」
「なるほど、それで病気や一年の成長がわかるのですね」
「まぁな。でも、俺今年あんまり背が伸びてない気がするんだよな。体重は一時期すっごいやせたけど、今は去年とまったく一緒だし」
俺は布団に入りながらため息をついた。成長期が終わるにはもうちょっと時間が有ると思ってたけど、これ以上背が伸びないのは嫌だな……。それでなくても長谷に負けてるのに。
「あぁ、それでしたら私ども一同のせいかもしれません」
「え?」
「私どもがご主人様のエネルギーを少々頂戴していた時期があるのを、覚えておいででしょうか?」
「あ、あぁ……」
「あの頃はまだご主人様は修行する前でしたので、身体の成長に回るはずだったエネルギーを私どもがいただいておりました。ですので、一時的に身長が止まってしまったと考えられます」
「ほ~お……、つまりお前たちのせいで俺の身長が伸びなかったということだな?」
俺はフールを片手でつかむと、じわじわと力を込めた。
「俺の身長返せ!」
「い、今は大丈夫です! ご主人様は修行で強くなられました! 十分エネルギーに満ち溢れておりますので、今はちゃんと伸びてきているはずです!」
あわててフールは弁解した。
まぁ、たしかに、身体に負担がかかるようなことは無くなった。千晶のダメージを吸い取っても、なにか食べればそれで回復できるし。プチの力の加減もできるようになってきた。ちゃんと修行の成果はでてきているもんな。
「……本当だろうな」
「えぇ、そりゃぁもう、絶対です。あ、でも成長期が終わってしまっていたら伸びない可能性も……」
「…………」
「私としたことが、とんだ失言を……。それではご主人様、お休みなさいませ。よい眠りを」
俺の不穏な空気を感じ取って、フールはプチの中に姿を消した。
「まったく、……一言よけいだっての」
明かりを消して、俺は布団にもぐりこむ。
健康診断か……。修行のおかげで、ある程度体力も付いたし、丈夫な身体になったと思う。風邪も引いていないし、るり子さんのおかげで栄養バランスのかたよりも無い。健康そのものといっていい。
俺の心配は身長だけか…………。
とりあえず、朝だめもとで牛乳でも飲もうかな。
そんなことをうとうと考えてるうちに、俺は眠りに落ちていった。

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