6巻を読み終わって思わず妄想。
ネタバレにつき、読後読んでください。
千晶と夕士がいちゃついてるだけです。
千晶視点で書いてみたのですが、ちょっと書くにくかった。
次はもう少しましな文章にしたいです。
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[41回]
修学旅行の帰りのバス。
行きのバスでは、カラオケだゲームだとうるさかった車内が、さすがに疲れが出たのか静かだった。
まぁ、なれない運動をしてあれだけ騒いだんだから、当然か。
これも、計算のうち。俺もゆっくりできるってもんだ。
隣に座る稲葉も、例にもれず、うつらうつらと船を漕ぎだした。
「……、お前にはほんと、世話になったよな……」
自分でも今回はずいぶん頼ってしまったと思う。
『ほんと、あんた手のかかる人だな』
そう言いながら、俺を風呂に入れ頭を洗い、体も流し、飯の準備をし、茶を用意して、しまいには布団を敷いて寝かしつけて……。
今思えば、ちょっと甘えすぎたかもしれない。
高速道路をとばすバスが、カーブで少し傾いた瞬間、稲葉の頭が窓側へ倒れそうになった。
「おっと」
頭を支えてやると、稲葉のまつげが震え、うっすらと目を開いた。
「ん、ちあき?」
「起こしたか? 頭ぶつけるところだったんだよ」
「ん」
まだ覚醒しきっていない稲葉は、こくりとうなずいたまま動かなくなってしまった。
「はは、お疲れだな」
俺は稲葉の頭を引きよせ、肩を貸してやることにした。
「んん?」
「こっちにもたれかかってろよ。窓にぶつけるぞ」
「うん……」
話は頭に入っているようだが、目はつむったまま。それでも稲葉は、俺の肩のちょうどいい位置を探しあてて寝息を立て始めた。
肩にかかった髪の毛が、窓から差し込み光で、茶色く光る。その様子を見ていたら、だんだん俺まで瞼が重くなってきた。
程よいバスの振動が追い打ちをかけるように眠気を誘う。
「俺もお疲れだな……」
まだ到着時間まで一時間はある。肩に乗っかる稲葉の頭がちょうどいい位置にあるので、枕にしてしまおう。
「キャー、ちょっとちょっと、タァコ、シャッターチャンス!」
「ギャー!なんなの、なんなのこの新婚アツアツカップルのようなツーショット!!」
「前行って撮っちゃえ!」
カシャッ、カシャッ、ぴろり~ん。パシャパシャパシャ。
「次アングル変えて~♪」
カシャ、ぴろり~ん。
これ見よがしのシャッター音。
おいおい。
これだけ近くでさわがれりゃ目もさめるってもんだが、結局俺は知らんぷりを決め込んだ。
さすがに稲葉も気がついたようだが、おとなしく俺にもたれかかっている。
それでいいい。せっかく気持ちよく惰眠をむさぼっているのだ。邪魔されたくない。
稲葉もきっと同じ気持ちだろう……たぶん。
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