千晶の隣に座るワケ

先日は次は長谷×稲葉書こう・・・と書いた傍からしつこく千晶と稲葉です。（苦笑）

いや、単に長谷×稲葉がちょっと難産・・・というか、また長く・・・。
なので、スパッと短い小話を。

６巻ネタ再び。
いや・・・先日読み返していてあまりにも突っ込みどころが多かったので、自分なりに補完してみました。
なんで修学旅行のバスに稲葉は千晶の隣なんだ！？と。
普通班ごとに座ったりするもんじゃないのか？と。
しかも稲葉の部屋４人部屋だったよな・・・つまり偶数だ。
座席も普通偶数だろう。
なぜ千晶と並んで座る！？

私以外も突っ込んだ人いるだろう・・・。

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今日から修学旅行。
学校の前にバスが止まり、これから俺たちは雪山へ行く。
バスはクラス単位で決まっていて、座席は自由だ。
まぁ、だいたい班毎に部屋割りがされているので、俺は今回一緒になった岩崎、上野、桂木とグラウンドに固まっていた。
点呼を取って、バスへ移動するときに、千晶に声をかけられた。
「稲葉、すまん、コレ持ってお前一番前に座っとけ」
そう言って渡されたのは千晶のかばん。
「しょうがねぇなぁ……」
俺は二人分の荷物を持ってバスへ乗り込むこととなった。
千晶の荷物を持っている手前、俺たちの班はバスに一番乗りでたどり着いた。
「稲葉、俺ら一番後ろ座ってるぜ」
「おう」
一応千晶の荷物をそのままにしておくのもなんなので、千晶が戻るまで一番前の席に座って待つ。
「あ、そこ千晶ちゃんなの？　じゃぁその後ろ～」
田代と桜庭が後ろの席に陣取った。その後もぞろぞろと乗車してくるクラスのやつらで、バスの中はだんだん騒がしくなってきた。
バスはクラス全員が乗っても補助席を使わないで乗れる。みんな座席に着いた頃、千晶が一度顔を出した。
「おい、みんないるか？」
「は～い！」
「お～」
まちまちの返事が上がったが、最後にクラス委員が「全員そろってます」と千晶に叫んだ。それを聞くとまた千晶は外に出て行ってしまった。
まぁ、全員乗ったし、もう荷物番しなくてもいいかな？
そんなことを思っている間に、千晶が戻ってきた。
「出発してください」
運転手に声をかける。
それを合図にバスは扉を閉め、ウィンカーを出して動き出した。
「おい、奥座ってろよ」
岩崎たちのいる後に移動しようとした俺を、千晶は制し、窓際の座席へ追いやった。
「えっ、ちょっと、俺千晶の横かよ」
「なんだよ、嫌なのかよ」
荷物を棚に押し込んで千晶が座席に着く。
「嫌ってワケじゃないけど……」
「ならいいじゃねぇか」
そこまで言うと、千晶は俺の肩を抱き声を潜めた。
「考えても見ろ。俺の隣が空いてたら、絶対だれかすら隣に来ようとするだろ？」
ちらりと後ろを振り返る。田代たちが席の隙間から聞き耳を立てていた。
「まぁ、おモテるになりますからねぇ……」
「はじめから埋まっていれば問題解決だ」
「でもなんで俺なんだよ。他のヤツでもいいだろうに」
「稲葉、おまえ出席番号１番だろ」
「…………基準そこかよ」
確かに俺はC組の「出席番号１番　稲葉夕士」だった。
「建前はな。本音は、やっぱり隣は慣れたヤツがいいってことだ」
千晶は手を離してニッと笑った。
「慣れたヤツ……ねぇ」
「じゃ、そういうことで！　帰りもよろしくな、稲葉」
「はいはい」
俺は仕方なしに、一番後ろに座る岩崎たちに「わりぃ、こっち座るわ」と手を振った。
「お～」
「すまんな、稲葉かりるぞ～」
千晶が続けると「へ～い」と三人の声が返ってきた。
「やっぱり、ハニーとダーリンはいつでも一緒ってこと！？　いや～ん」
目をきらきらさせて喜ぶ田代。
はいはい。あなたたちにはいいネタが提供できて何よりです。
まぁ、そんなわけで、移動のバスは千晶のご指名により隣に座ることになったんだな。
別に嫌ってワケじゃないからいいけどよ。
田代が後ろでカメラ構えてるのがちょっと、なんだがな……。