第三土曜日のデート（サンプル）

お久しぶりです。
とうとう一ヶ月以上放置してしまいました……（涙）
その間何をやっていたかというと、原稿を書いていた。ただそれだけ。

やっと６日に入稿しましたので、早速サンプルをお披露目。
表紙画像はYOROZU進化論のBBSに上がっています。

いや……それにしても入稿ラッシュ。
大阪まで既刊が持つか危ういので、急遽再録本作ったりね。
夏コミどんだけ搬入されるんだか計算したらおっそろしい数になった。
周りに迷惑かけないように、がんばって机に載せます。（苦笑）
以下、販売予定物と大阪のスペース。

◆新刊◆
・If　～Date～　A5/52P/500円
１月に出したコピー本の再録と今回サンプルに載せてるお話。千晶×夕士。
ちょっと龍さん役得かも？（苦笑）

・Storm＆temptation　A5/68P/600円
完売した「storm of kiss」と「誘惑の連鎖」を合体させた再録本。　
書き下ろしはコメントだけ。一緒にしてしまったのでR18指定です。

・らぶｖゆぅ　A5/108P/1000円
妖怪アパート夕士受けアンソロジーです。とうとう発行！
特設サイトに小話投下していますので左のリンクから行って見てください。

◆既刊◆
・６巻詰め合わせ　A5/36P/300円（この本だけコピー）
・Lucky or Unlucky　A5/52P/500円
・If　～graduation～　A5/52P/500円


★大阪のスペース
８月２３日インテックス大阪　6号館Cゾーン「ひ」71ab　『らぶｖゆぅ』
２スペースで取ってます。しかもお誕生日席（苦笑）


と、まぁ、こんな感じです。
既刊をお求めの方は夏コミ午前中なら確実かと。
（私お買い物でいないかもですが……）
ペーパーも一応作る予定です。小話また付けたいな～……。
時間が有ればおまけも作りたい！

そのためにも別ジャンルの原稿をはやく書こう！
ということで、更新はコミケまでできないかもです。スミマセン

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それは、ついニ週間前の出来事。
三月に入ってすぐの土曜日。俺がバイトの休憩中にその電話はかかってきた。
『すまん、稲葉。一年のヤンチャどもがまた他校の生徒と揉め事起こしやがった。大事には至らなかったみたいだが、怪我させたみたいでな。これから親御さん呼んだり、なんだかんだで学校に行かにゃならん。多分明日も朝から学校になりそうなんだ。今日の予定、来週にずらせるか？』
それは、今日、バイトの後、一緒に映画を見に行く約束をしていた千晶からの電話だった。お互い平日は忙しいから、のんびりできる週末を利用して出かけたりしているのだが、どうも最近すれ違い気味だ。
「あ……、来週は長谷がアパートに泊まりに来ることになってるからパス」
『そうか、平日はおまえバイトだもんな』
「うん、休み中はめいいっぱいシフト入れちまったぜ」
　二月の後半、大学の通称「おじいちゃん」教授（ほんとに、七十過ぎたおじいちゃんの教授）のお供で、ど田舎の祭り見学に行ってしまった。ようするに民間信仰の研究のフィールドワークで、土地に根付いた言い伝えや昔話を聞いたり、変わった祭りを見学したりしてまわって、信仰の出所を突き止めて行ったりする研究なのだが、けっこうこれが面白い。びっくり仰天エピソードなんかもあり、なかなか楽しいのだが、田舎の村や町に行くまでにやたら交通費がかかるのが玉に瑕。宿代や食事は教授持ちで助かるけど、それでもその間バイトに入っていない分、懐は乏しくなるわけで……、残る休みはビッシリバイトの予定を立ててしまった。
『じゃぁ、仕方ない、再来週か。なかなか会えんな』
「そうだな。こないだ会ったのが、二月の頭だから一月以上会ってねぇな」
『そんなになるか。……なんか一ヶ月があっという間だな』
千晶は電話越しにため息をついた。千晶も忙しい日々だったのだろう。二月三月といえば、期末試験に、予餞会、卒業式と学校行事が盛りだくさんだったはずだ。
「次は、何も起きないといいな、千晶センセ？」
『まったくだ……。よし、決めた。毎月第三土曜日は必ず開ける。なに、いざとなったら体調不良になるさ』
「ぷっ、仮病かよ。千晶の場合、ほんとにぶっ倒れてるかもだけどな。あ、なんか心配になってきた。千晶、ちょっと声かすれてねぇ？　もしつらいようだったら、ツボマッサージだけでもしに行ってやろうか？」
『そこまで疲れちゃいねーよ。ま、おまえがど～しても再来週まで我慢できないってんなら、家の鍵かけないでおいてやるけど？』
「我慢って、あんたな～～～～」
『夜這いなら大歓迎だ』
「バカ言ってねーで、ちゃんと休めよ。俺はおとなしくアパートに帰るし。それより、再来週は絶対だからな！」
『あぁ、絶対だ。第三土曜はちゃんと空けろよ？』
「千晶よりは確実にあけられるぜ」
『じゃぁ、また電話する』
「おう」
　こうして、毎月第三土曜日は千晶と過ごすための時間となった。



その、約束の土曜日まで、あと二日。めいいっぱいバイトで体を動かし、アパートに戻ってくると、いつものようにあたたかい晩御飯が俺を待ち構えていた。しかも、なんだか今日はスペシャルだ。
「おかえり～。今日は佐藤さんが北海道の出張土産ボタンエビを買ってきてくれたよ～」
詩人が大皿にでんと盛られたボタンエビを披露してくれた。頭のからと尻尾付き、薄ピンクの身がピカピカひかってる。
「うっわ、すっげ～、俺食ったこと無いっス」
「食べて食べて～。美味いよ～」
「いただきまッス！」
　佐藤さんは妖怪ながら、人間の某王手化粧品メーカーに勤めるサラリーマンだ。ちゃんと稼いだお金で家賃も払うしお土産も買ってくるんだから、本当に人間と変わらない。
「野菜も届いてね。ほうれん草でしょ、菜の花に、ブロッコリー、フキ、イチゴもあるヨ～」
　時々、こうやってどこからかアパートに旬な食材の差し入れがある。大家さんからだったり、妖怪だったり、謎な人か物かわからないような者からだったり。
　俺はボタンエビの甘さに感動し、炊いたフキのなんともいえない苦味に幸せを覚え、菜の花の辛し和えに季節を感じた。
「あ～、おいし～い」
　どんぶりに熱々の山盛りご飯で、俺はるり子さんの超絶品料理の数々をもりもり食べた。エビの頭とほうれん草の味噌汁もダシがよく出てて最高！
「いつ見ても、良い食べっぷりダヨネ～」
「夕士、だんだん秋音に似てきたんじぇねぇか？」
　画家はボタンエビを肴に、日本酒を楽しんでいる。
「いや、さすがに秋音ちゃんほどは食えねぇっス」
プチを養ってる分、人より食べている自覚はあるが、秋音ちゃんのように、丼飯三回お代わりして、食後にケーキをホール食いしてバイトに行ったのに、帰ってきてまた夜食を食う（しかもお代わりする）なんて芸当はさすがにできない。
酒で盛り上がる大人たちと、るり子さんが追加で出してくれた菜の花チラシを食べていると、玄関から「ただいま～」の声が聞こえてきた。妖怪託児所で保母さんをしているまり子さんだ。
「おかえりなさ～い」
「きゃ～、おいしそう～♪」
大きな風呂敷鼓を抱えたまり子さんが、食堂へやってきた。
今まで俺の隣でおとなしくチラシ寿司を食べていたクリが、一目散でまり子さんに駆け寄っていった。その後をシロ母さんが追っていく。
「あら、クリ。なぁに？」
クリはまり子さんの持つ風呂敷包みにしがみつき、じっとしている。
「まり子ちゃん、どうしたんだい？　その包み」
「これ？　これはねぇ……」
まり子さんはチラッと俺を見て、それから包みを大事そうに抱えて腰掛けた。結び目を解くと風呂敷鼓ははらりとめくれ、タオルでくるまれた中身があらわになる。
「あ、ソレって……」
　詩人が珍しく目を開いた。
「もしかしてアレか！」
　画家はなんだか楽しそうだ。
「あれま、またきちゃったの？」
佐藤さんはこりゃまいったネと頭をかいた。
その場にいた誰もがるり子さんの膝の上に釘付けになった。だってそこにあったのは、丁度ニ年前、俺が高校二年の春休み、やはり同じようにこのアパートにやってきた、青くてちょっといびつな楕円状のソレだった。


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と、いうことで、続きは夏コミ発行の新刊にて。
もう、お分かりですね。アレです。
しかも普通じゃないです。
今回はなんと●●！（苦笑）

お楽しみに～。