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都庵

現在は「妖怪アパートの幽雅な日常」「The MANZAI」の女性向け二次創作等の物置。オフラインの自家通販もやってます。

   

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没原稿

ちょっとのどの痛いあみやです。

とりあえず、印刷所に原稿は届いているはずなので11月1日のイベント告知を少し。

11月1日(日)COMIC CITY SPARK4(東京ビックサイト)
西1ホール G 22b 「都庵」 妖怪アパートスペース(またウチだけ?)

販売物は以下参照。

【新刊】
■CAT PANIC A5/オフ・カラー/28P/300円※R-18

夕士が猫耳(尻尾つき)になる話。
「らぶゆぅ」告知サイトの製作記録にある小話をリライトして、猫耳が取れるまでを書ききりました。
千晶×夕士オンリーです。R指定です。
(ほかの人出すとすぐに脱線するから。)

【既刊】
■Storm&temptation  A5/オフ・カラー/60P/600円
■If ~Date~      A5/オフ・カラー/52P/500円
■6巻詰め合わせ    A5/コピー・2色/36p/300円
■らぶvゆぅ(合同誌)A5/オフ・カラー/108P/1000円

あと「RASCAL」の高城さんの委託本があります!
恒例の小話ペーパーも猫耳でなんか作りたいな・・・。

いつもならここで新刊のサンプルをアップするところですが、
「らぶvゆぅ」のほうに上がっちゃっているので、
今回は没部分をアップしてしまおうかと思います。
原稿締切日前日に5ページ分くらい没にしたのです。
切羽詰っているのに、一番書きたかったシーンでなかなか事におよべず(爆笑)
いつまでたっても終わりが見れなかったので、さっくりカットしてしまったという……(涙)
猫の特性を使っていろいろ書くつもりが!
・・・ということで、前後無くて意味不明かもだけど、アップする小話のストックが無いから没原稿あげてしまいます。
まぁ、とりあえず「らぶvゆぅ」の猫耳サンプルを読んでからトライしてみてください。
かなりイチャついててこの部分だけアップってどうよ……とは思ってます。
無駄に長いし…………。


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拍手[4回]



千晶の手が、今度はゆっくり頭をなでる。
確かにこれなら、悪くない。……気持ちいいのかも?
猫の気持ちはよくわからなかった。
「はぁ、猫の気持ちわかるやつ、どっかにいないかな……」
俺はポツリとつぶやいた。
「稲葉、それだ!」
千晶は手を伸ばして、テーブルの端っこに置かれた携帯電話をたぐりよせた。
「猫の気持ちがわかるヤツに、心当たりがある。俺のダチで猫七匹飼ってる猫マニア。あいつならなんか良い案出てくるかもしれない」
「おっ! それ良いね」
千晶は早速ダイヤルボタンを押した。
かすかに聞こえる相手のコール音。俺は今度こそ千晶から降り、携帯の側で耳をそばだてた。
一回、二回、三回目で留守番電話につながってしまった。千晶はコールバックのメッセージを吹き込み、電話を切った。
「出ないんじゃ仕方ないよな、残念だけど」
ちょっと落胆気味の俺の頭を、千晶は元気付けるようにポンポンとたたいた。
「そんなにしょげなくても多分大丈夫だ。あいつは引きこもりのプログラマーだから、買出しに行ってるのか、この時間なら風呂にでも入ってるのか……。俺たちも風呂に入るか」
壁にかけられた時計を見ると、もう九時を回っていた。
「あっ! 俺アパートに電話してない」
「おう、しとけしとけ。ついでに泊まるって言っとけ」
 千晶が携帯を投げてよこした。
「え、泊まっていいのか?」
「もう遅いし、おまえの猫耳、尻尾もまだ治ってないからな。治るまで幾日でも当面面倒見てやるさ」
千晶はリビングを出て行った。
 俺は携帯にアパートの番号を押した。
「……治るまでって……太っ腹だな」
今晩治らなかったら、俺はアパートに戻るつもりでいた。アパートに戻れば、からかわれるにしろ、長谷にばれるにしろ、何かすら助言をもらえるだろうと思うからだ。なんせ、現役の幽霊が沢山いるわけだしな。
だから、意地を張るのは今晩まで。そう決めていただけに、千晶の「治るまで、面倒見てやる」には、俺の意地で迷惑かけて申し訳ない思い半分、気にかけてもらえて、俺は凄く嬉しかった。
電話に出た詩人に、友達の家に泊まると告げて、俺はフールを呼び出した。
ここまで千晶が協力してくれているんだから、なんとしてでも今晩中にこの猫耳とおさらばしたい。
「フール、かまってもらってんのに、なかなか落ちないぞ? 成仏するのになにが足りないんだ?」
俺が聞くと、フールははてと首をかしげた。
「食欲……は先ほどお食事なさっていたので、満たされてますでしょうし、遊びも、まさしく猫の兄弟のように仲睦まじくされておりましたし……。はて、一体何が足りないものですやら……」
フールにも見当がつかないようだ。
「人間の三大欲求って、確か、睡眠欲・食欲・性欲だっけ? 猫にも三大欲求みたいなのねぇの?」
「猫は、自由気ままな生き物ですから……人間ほどはっきりとした欲求はあるんだか無いんだか……。なんでしたら、コクマーに聞いてみてはいかがでしょう?」
コクマーとは、プチの中にいる、知識の象徴の梟のことだが、いかんせん歳を食いすぎていて使い物になったためしがない。
「……いや、それはやめとこう。聞くだけ無駄な気がする。それだったら、俺が猫になりきった方が何ぼかマシ」
「あ、それですよご主人様! 猫になりきると、何かわかるかもしれません!」
「猫になりきるねぇ……どうやって?」
「こうでしょうか……」
フールは床の上で四つんばいになると、手を突いた俺の腕にハイハイして近づき、頭をスリスリとなすり付けてきた。
確かに猫らしい行動だ。外見さえ、小人のおっさんじゃなければな。
「稲葉、電話したか?」
いつの間にか、千晶がバスタオルを抱えてバスルームから戻ってきていた。
俺はフールを引っつかんでポケットにしまった。
「おう、電話サンキュー」
携帯電話を返して、代わりにバスタオルを受け取る。
「あと五分もすれば入れる。ちょっと汗かいたしな」
「千晶先入りなよ。俺洗い物しとくし」
それくらいなら俺でもできる。出しっぱなしの食器を持って俺はキッチンへ移動した。
「おっ、気が利くじゃねぇか。でも、風呂が沸いたらおまえが先に入れ、ヤツから電話が入るかもしれんからな。洗い物は任せる」
「了解~」
俺が洗い物している間、千晶はノートパソコンを開いていた。仕事をしているのかなと、ひっそりのぞいてみると、子猫の画像がいっぱい出ているサイトや、飼い主のブログなんかを開いていた。
千晶……俺のためにそこまで……。
俺はぱぱっと洗い物を片付け、ソファに座る千晶の後ろへ立った。
「千晶、背中後ろにくっつけろよ」
「おっ、なんだ?」
「一応恩返し。体調が悪そうなら、ツボマッサージしてやるんだけど、今日はそれほど悪くないみたいだから普通のな」
 俺は肩に手を置いた。グッと親指で指圧して揉んでやる。本当は灰色の靄が少しだけ千晶の胸に沸いてみえたが、あんまりきれいさっぱり取ると、せっかく耐性のついてきた体が弱くなってしまう可能性がある。だから、俺は普通のマッサージをしてやることにした。
千晶の肩は凝っていた。ほぐしがいがありそうだ。
「そんなに、恩返ししなくても良いぞ? いつもはこっちが助けられてんだから」
千晶はそう言いながらも、気持ちよさそうに目を閉じた。
それから少し。風呂が沸くのと、千晶の電話が鳴ったのは同時だった。千晶はすぐに電話を取り、風呂にいけよとジェスチャーするので、俺はバスタオルを持って、先に風呂を済ませることにした。
風呂場は、玄関へ向かう廊下の右手にあった。洗濯機の上に籠が載っていたので、そこに服を入れてバスルームに入る。浴槽を開けると、あったかそうな湯気がほっこり立ち上がった。
手で湯の温度を確かめると、猫舌の俺に合わせてか、アパートの洞窟温泉よりやや温いくらいの温度だった。
まずはシャワーで体を流そうと、適温のシャワーを体にかけたとき、その現象は起きた。
「うわっ!」
今までに感じたことの無いような、嫌悪感。手で湯に触れたときは、なんとも無かったのに、湯が体にかかった瞬間、俺はシャワーのヘッドを床に落としていた。ひっくり返ったシャワーヘッドは水圧で二転三転し、あたりを濡らしながら入り口の方へ向いて止まった。
それを俺は、ただ呆然と見ていた。頭の中では、シャワーを止めなきゃと思うのに、手が出ない。明らかにこれはおかしい。
「なんだ、どうした?」
俺の声が聞こえたのか、千晶が浴室のすりガラスの向こうにやってきた。今にも開けそうな雰囲気だったので、俺はあわてて蛇口へ手を伸ばした。が、説明のつかない恐怖心から、なかなか手が出ない。
とうとう、千晶は濡れるのもかまわず中に入ってきた。シャワーを止め、しゃがみこんで動けないでいる俺の顔を上げさせる。
「稲葉、顔がこわばってるぞ、とりあえず深呼吸しろ」
俺は言われるがままに深呼吸をした。すると、先ほどの妙な体のこわばりが、吐く息と一緒に抜けていった。
「はぁ~。怖かった」
 口から出てきたのがその言葉だった。
「あ、そういや猫って……」
『水が苦手』
 千晶とハモった言葉が浴室に響いた。
どうりで、水が怖いわけだ。
「ふむ、これはこれで、使えるかもしれない」
 千晶がポツリとつぶやいた。
「は? 使えるって?」
「キライなものを無理やりやらせて、おまえの中から追い出すって方法」
「あ、それは有りかもしんない。成仏させることだけ、考えてたけど、入ったんだから零体のまま出てくることができても、不思議じゃないよな」
「そう。出てきたらそいつを、うんとかまってやって成仏させてやればいい」
「うん、そうだな」
「と、いうことで、やるしかないな、稲葉!」
ポンと右肩に手を置かれる。その手にググッと力がこもった。何か嫌~な予感。空いている千晶の右手にはいつの間にか手桶が握られていた。
「がんばれ!」
 千晶は笑顔で、俺に桶の湯をぶっ掛けた。
頭から背中を流れるお湯に、ゾクゾク感が湧き上がり、あったかいお湯を被ったはずなのに、俺は震え上がった。
「ギャーっ、無理!絶対ムリ! こんなのがんばれるか!」
情けないが、本気でダメだった。
「そういわず、もう一回だけ、がんばってみろ」
容赦なく降りかかるお湯。俺はたまらず、千晶に縋りついた。千晶の服が濡れるが、かまってられるか。
 二度、三度、唇を噛んでやり過ごしたが、猫が出てくる気配は無く、逆に今出てきたらずぶぬれにされると、意地でも出てこないような気さえする。
「マジで勘弁して、ホント怖いんだって! これ以上無理!」
俺はガッチガチに緊張して千晶にへばりついていた。いつの間にか千晶も服のままずぶぬれ状態だ。
「わかった、この作戦は諦めたほうがよさそうだな」
千晶もようやく諦め、ホッしたのもつかの間
「だが、このままじゃ風邪を引く」
「!」
ふわっとした浮遊感に気がついたときには、俺は抱えあげられていた。
「えっ、ちょっと、何やってんだよ千晶!」 
「荒療治だが、受験生に風邪は引かせらんないだろ。俺にしがみついてな」
千晶はそう言うと、服のまま湯船に足を突っ込んだ。
「嘘っ! マジか? 俺抱えたまま入る気かよ!」
「ちょっと狭いが、まぁ何とかなるだろ。危ないから、暴れんなよ」
暴れたくても怖すぎて微動だにできない。俺は千晶のシャツを握りこんで、じっとしていた。
チャプン。という音とともに、千晶の両足が湯船に浸かる。いよいよ尻尾に湯が触れた。尻尾はくるんと丸まって、腹の上に乗っかった。
「稲葉」
 名前を呼ばれるが、水面に視線が釘付けで千晶を振り返れない。
「ゆっくり入るから、怖かったら目を瞑っとけ」
徐々に迫ってくる湯船。着水の瞬間、俺は目を閉じた。唇を思いっきり噛んで、体が湯に包まれる嫌悪感に耐える。ザブッとあふれる湯の音と、立ち込める湯気を感じながら、俺は一分近く固まっていたと思う。
ようやくじんわり伝わる暖かさにもなれ、目を開けると、千晶がじっと俺を真剣な表情で観察していた。
「どうだ? 大分慣れてきたか?」
俺はコクンとうなずいた。すると、やっと千晶もほっとしたように表情を和らげた。
「良かった。さすがに気の毒だなとは思ってたんだ。唇切っちゃってるし」
千晶はついと近寄ると、俺の下唇をぺロッと舐めた。
「舐めとけば治ると思うけどな」
「…………」
あまりにも自然に舐められたので、思考が追いつかない。改めて自分の舌で、下唇を舐めてみると、ほんのり血の鉄っぽい味がした。
ようやく頭が回りだしたところで、なぜだかふわっとあくびが出た。口を開けることで、こわばっていた顔面が、少しリラックスできたような気がする。
「まるっきり猫の動作だな」
千晶は笑った。
俺はしがみついていた千晶から離れ、向かい合うように座った。男二人には狭い湯船。そのほうがゆったり浸かれる。
「猫ってあくびするっけ?」
ようやっと力を抜いて声が出せた。
「猫マニアの情報によると、緊張した後で自分を落ち着かせるためにあくびをするらしい。気を紛らわせるんだろうな」
「へぇー」
「他にもいろいろ聞いた。興奮状態になると耳が完全に倒れるとかな」
「ふーん、あっ、じゃぁもしかして、俺風呂に入るまで倒れてた?」
「倒れてた。で、耳をピンと立てたときは攻撃態勢らしい。湯に浸かろうってっときには耳が立ってから噛まれるかとちょっと肝を冷やした」
「はは、噛んどきゃよかったかな」
「そうそう、適度な甘噛みは『好き』の印らしいぞ。オスが交尾するときもメスの首を噛むそうだ。どうやら好きだって思うと、本能的に甘噛みしてしまうんだと」
「ふ~ん」

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こんな感じで風呂場のシーンがダラダラ続く予定だった。
夕士まっぱで千晶服のまま。(ここポイント!)
この後夕士に濡れた千晶の脱がせたり体洗ったり
尻尾はシャンプーなのかボディソープなのかで悩んだり
あ~ネタの沢山できそうなシュチュエーションだったのにもったいない!(苦笑)

本編ではこの部分全カット。うんちくは少し入れたけど。
まぁ、本編もそれなりに楽しめるようまとめたつもりです。
アパートに電話するとこはしょったのはちょっと失敗だったけど(自爆)
目的のプレイ(!?)は書けたので、満足~。
……ということで、本編もお楽しみに!
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