更新が思ったより遅くなってしまいました。
なんか会社が忙しくて、毎日残業です。
不況ですからね、大変です。
さて、今回の更新、珍しくそれほどカップリング色が濃くない。(苦笑)
詩人と夕士です。
一応シリーズ物の第一弾で、この後古本屋編とか霊能者編とか色々続く予定。
長かったり短かったり、どう転ぶかわかりませんが、夕士総当りで少し続けたいと思います。
先日、お友達と電話をしていて3月の原稿の話をしていたら、友達がゲスト原稿書いてくれることになりました。(もう逃げられないよ、●月さん!:苦笑)
今度打ち合わせとかして、妖怪アパートで盛り上がる予定~。
た~の~し~み~♪
3月はちゃんと印刷やさんに出して、カラーの本作ろうと思います。
では、珍しい詩人視点のお話、お楽しみ下さい。
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[6回]
出版社との打ち合わせで外に出た。
あまりアパートからでない生活をしていたせいで、久々の出版社では、打ち合わせや本のサイン、ここぞとばかり担当者がいろんな顔合わせをセッティングしてくれたおかげで、帰りが予定よりもだいぶ遅くなってしまった。
キンと冷えた空気が肌に痛い帰り道。
担当が用意してくれたお土産と、出版社で取り置いていたもらっていた感想の手紙などをまとめた袋を持つ手が痛い。
「手袋をはめてくるべきだったよね~」
つぶやくそばから、息が白く立ち上がる。
薄暗い住宅街のなか、アパートのあわい明りは実に温かそうだった。
門にいる幽霊の花子さんが、お帰りなさいと声をかけてくれた。
「ただいま帰りました」
アパートの敷地に入ると、ふっと空気が暖かいものに変わる。
扉を開けて、玄関に入ると、ちょうど地下からクリを抱えた夕士が上がってきた。
風呂に行っていたのだろう、髪はまだぬれ、火照った頬が少し赤かった。
「あ、お帰りなさい、一色さん」
「ただいま、夕士クン、クリ」
クリを抱いたまま寄ってくる夕士。暖かな空気も一緒にくっついてくる。
体にまとわりついていた寒い外気が、一気に吹き飛んでいくような感覚が訪れ、胸の奥がほっこり暖かくなるのを感じた。
「一色さん?」
風呂上がりの湿った肌、上気した頬の少年が、少し首をかしげて覗き込んでくる。
「どうかしました?」
「いや、外は寒かったな~ってね」
「あ、そうですよね。早く中入ってください。荷物持ちます」
クリをおろして、下げていた紙袋を受けとろうとした手の先が凍った手に触れる。
夕士は触れた瞬間、熱いものでも触れたかのように手を引いた。
「一色さん! すっごい冷たくなっちゃってるじゃないですか!」
驚きながら怒りながら、夕士は改めて荷物を取り上げると両手で冷たくなってしまった手を包みこんだ。
自分とあまり大きさの変わらない手は、こちらがやけどしそうなほど暖かかった。
ごしごしと拭う様に摩擦して、温かい息までふきかけてくれる。
いつの間にか感覚を亡くしていた手に、ゆっくり血が巡ってくる。
「さ、早く居間に行きましょう。あったかいお茶入れましょうか?」
手を取ったまま、引っ張るようにして廊下を進む夕士。
少しの間でも温めようとしてくれる心が嬉しい。
「あったかいお茶よりも、熱燗がいいかな~。どうせ深瀬や龍さんも飲んでるんだろう?」
そう言うと、夕士は少し目を見開いてから笑った。
「るり子さんに、熱燗つけてもらってきます」
しょうがない大人だな、という顔で、夕士は食堂へ針路変更する。
ほんの数歩分、暖かい手を楽しむ時間が長くなった。
ふと、次の詩のテーマが降ってきたような気がした。
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もっとマニアックでもよかったかもしれない。
この後詩人は手に固執する大人向けのちょっと変態チックな
江戸川乱歩張りの詩を発表する……って感じで書きました。
夕士のあったかい手が気持ちよくて、
数秒、その時間が増えたことにかすかな満足感を覚え、
そうゆうことに快楽を覚える変態さんのお話を思いつく詩人。
私的には有りなのですが、いかがでしょう……?
きっとこんなふうに夕士が誰かをあっためるシリーズになる予定です。
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