こんにちは。
一ヶ月以上ここを放置してしまい申し訳ありません。
あみやは元気ですし、活動止めてませんよ~。
更新していない間に、妖アパ漫画連載2回目と文庫6巻が発売となりました。
感想とか書きたいところですが、ちょっとばたばたしていますので
新作とかはもうちょっと待ってくださいませ。
そのかわりといってはなんですが
以前出した「6巻詰め合わせ」をちょっとづつアップしたいと思います。
再録予定もないし、一部は最初のころアップしてるし……
文庫6巻発売記念としてね!(苦笑)
これで千晶×夕士に転ぶ乙女が絶対出てくるはず!
よし、原稿がんばろう~
……と、いうことで大阪あわせで原稿します。
今のところ、セブンデイズを完結させるか
奥様はブックマスターをバージョンアップさせるかで迷い中。
どっちを先に読みたいですかね?
以下私信です。タイトルのお話は「読んでみる」から
井坂さん>
到着連絡ありがとうございます。
ゆっくりご堪能くださいませ。橋口さん>
入金&到着連絡ありがとうございます。
郵便受けに入らず直接届けていただいたとか・・・
実は郵便出すときもポストに入りきらないことがあるので
直接出しに行っていたりします(苦笑)-----------------------
[7回]
「あれれ~、夕士クンおちょこが空いてるぞ~」
夕士の隣に座っていた一色が、朱塗りのお猪口に白酒をなみなみと注いだ。
「あ~、もういいっスよ~」
夕士はほんのり色づいた顔で、ストップストップと手を振った。十二時を回り新年会が始まってから、既に三時を回っている。
「まぁまぁ、おかずはまだいっぱいあるんだから、今日くらいは飲まなくっちゃね」
「そうだぞ、注がれたら飲み干すのが礼儀ってモンだ」
画家がはやしたて、周り一同うんうんとうなずく。古本屋、まり子さん、鈴木さん、佐藤さん、そして長谷。みんなコップ酒で、まだまだ飲む気満々である。
「いや、でも俺未成年ッスよ」
「今日ばかりは無礼講だよ~。長谷君だって、ほら」
一色の反対隣に座る長谷が、なみなみ注がれたお猪口をぐいっと煽った。
「っぷは。ご馳走さんです」
「おお! いい飲みっぷり~」
「さすが長谷家の跡取り息子! さては日ごろ鍛えてるな~?」
「ははは、ちょっとだけです」
長谷の顔も少し赤い。それでも、船を漕ぎ出したクリをしっかり膝に抱えているあたり、まだまだ意識ははっきりしているようだった。
夕士はさすがに眠くなっていた。酔いのせいも多少はあるが、朝五時半には起きて修行をしているので、いつもは日付が変わる頃には就寝しているからだ。
「あ~、俺ちょっとトイレに……」
夕士があくびをかみ殺して席を立つと
「いってらっしゃ~い」
とみんなが見送った。
「いや~、夕士クン眠そうだったね」
一色が言う。
「そりゃそうさ、朝修行してんだろ? とっくに寝てる時間だモンな」
一升瓶の最後の一滴をグラスに注ぎながら古本屋が言う。
「長谷君は大丈夫?」
まり子が聞くと、長谷はちょっと頭を掻いた。
「さすがに、ちょっと眠くなってきましたね」
「じゃぁ、夕士クンが帰ってきたら休んでいいよ~」
「はい。そうさせていただきます」
「なら、それまでガンガン飲め」
画家がお猪口に日本酒を注ぐ。
「つぶれたっていいからね~。深瀬が抱っこして運んでくれるから」
詩人の言葉に「いやいやさすがにそれは……」と長谷は辞退を申し入れたが
「おう、お安い御用だ。夕士も運んでやったっけな」
「そうそう、お姫様抱っこでね♪」
「あ、俺も運んであげたよ~」
画家とまり子と古本屋の言葉に、長谷はピクリと反応した。
「その話、もっと聞かせてください」
注がれた日本酒をクピッと飲み干して、長谷は挑んだ。画家、まり子、古本屋、詩人はニッと笑顔で長谷に新しい酒を注ぎ足した。かくして長谷は大人どもの新しい酒の肴になっていた。
その頃、トイレに立った佐藤は、夕士とすれ違わなかったことに気がついた。
「あれれ、夕士クンはトイレに行ったんじゃなかったのかな?」
まさかアパートの中、どこかの別の次元とつながっている部屋に誤って入った、なんてことは無いだろうかと一瞬不安になった。
「まさかね……」
自分も妖怪の端くれ。少し神経を集中させると、夕士の部屋の方にかすかな人の気配を感じた。
階段を登り、夕士の住まう202号室の扉をノックしてみる。中からの返事は無い。そっと扉を開けてみると、中に夕士はいた。
たたんだ布団の上に、ダイブするような形でうつぶせになり、ピクリとも動かない。
「あはっ、布団を敷こうとして、そのままつぶれちゃったか!」
佐藤が声を殺して笑っていると、机の上に出ていたプチから十五センチくらいの小人、フールがひょいっと姿を現した。
「これはこれは、主人のお見苦しい姿をお見せいたしました佐藤様」
腰を折り深々とお辞儀をするフール。
「やぁ、フール。夕士君撃沈?」
佐藤がそっと近くまでやってきてフールに尋ねた。
「トイレによって、そのまま壁伝いに部屋に戻られました。フラフラと布団のほうへ行ったかと思うと、布団をつかんでそのまま動かなくなりました」
「わ~、想像できちゃうな」
しゃがんで布団の両端に手を伸ばす。すると目の前にふかふかの布団があるわけだ。一度そこに突っ伏して「あ~フカフカ~」と思った頃には、ぷっつり意識が途切れてしまう。きっと夕士もこのパターンなのだろう。両腕は伸ばされたまま、気持ちよさそうに寝息を立てていた。
「今ご主人様を起こしますので……」
「あぁ、ちょっと待った。このまま少し寝かせてあげよう」
主人をお起こそうと、夕士の布団の脇へひょこりと瞬間移動していたフールが首をかしげる。
「ふふふ、気持ちよさそう」
布団の傍に跪き、佐藤は夕士の頬にそっと指を沿わせた。
「ちょっとアルコールでほてってる」
「では、布団をおかけしてもはいでしまいますでしょうか?」
「うん、服着たまんまだしね。脱がせてあげてもいいけど、夕士君起きたときびっくりしちゃいそうだから、このままのほうがいいかな」
「さようで」
季節の変化に伴って、アパートの中の室温は変わっているが、エアコンや暖房器具が必要なほど、部屋の中は寒くない。
「そうだな、一時間位したら起こしてあげてよ。布団に入って眠るように。頼めるかな?」
佐藤はフールに向かって笑顔を見せると、フールは恭しくお辞儀をした。
「お役目、かしこまりました」
「じゃ、よろしくね~。夕士君おやすみ~」
前半はフールへ。後半は夕士に向けての言葉とともに、お休みのキスを夕士の頬に落として、佐藤は部屋を出て行った。
佐藤が居間に戻ると、長谷は既につぶれていた。クリを抱え込むように抱っこしながらひっくり返っている。
「あれまぁ、こっちもつぶれちゃったか」
「お、佐藤さんどこ行ってたの?」
古本屋が焼酎の入ったグラスを振りながらたずねた。
「夕士君の様子見にね」
「あ、そういや夕士のヤツ帰ってきてねぇな」
顔色一つ変わっていない画家が、グラスに日本酒をなみなみと注ぎながら言う。
「自分の部屋でつぶれてたよ。可愛いの! 布団敷こうとしてそのままつぶれちゃったみたいでさ、布団抱えたままの状態なの」
「きゃはは、起用ね~」
すでに出来上がっているまり子は体が火照るのか、キャミソール姿になっていた。
「こっちもね、なかなか可愛かったよ長谷クン。夕士クンを姫だっこした話になってさ、長谷クン何とかして詳細を聞きだそうと、深瀬と飲み比べしちゃってネ」
詩人は楽しそうに言う。
「また、なんと無謀な」
「ね~。勝てっこないのにさ、すぐつぶれちゃって。長谷クンってほんと夕士クンのこと好きだよね~」
「いや~楽しかったな~。飲んでる間中、夕士の自慢大会でさ」
「長谷君って小学校からの付き合いじゃない? だから、結構新ネタ披露してくれたのよね。そんでこっちも最初にアパートにきたときの話とか、修行ネタとか話して。そんで話ながらつぶれちゃったのよね」
「そうそう、ちゃんとクリ抱っこしたままネ」
「ははは、そりゃパパだ」
「パパだよネ~」
「パパだよ」
「パパね」
「ははははは」
大人どもの宴会はまだまだ続いた。
--------
「6巻詰め合わせ」は36Pのコピー本でした。
まだ2冊目か3冊目くらいの時期だったので
本が無さ過ぎて再版を重ね、オフにして置けばよかったと後悔……。
唯一この本にだけ4コマがあるんですよ……
いずれ公開しますね。
PR
COMMENT