なんとか脱稿です。
8月19日のSSC大阪、ちゃんと新刊あります。
ということでお品書き。
8月19日 6号館Dゾーン「や」64b 都庵(妖アパスペース)■「Collection」(11年5月東京発行)
A5/116P/カラー/1000円 ※R18
■「Again」(11年12月東京発行)
A5/116P/カラー/1000円 ※R18
■「If~My room~」(12年3月東京発行)
A5/28P/カラー/300円
■「Mixture」」(12年5月東京発行)
A5/116P/カラー/1000円 ※R18
■「If~July~」(12年8月大阪発行)★新刊★
A5/28P/カラー/300円
千晶×夕士だけど夕士メイン。
七夕と誕生日の話。↓こんな表紙。
ペーパーは明日中に小話書けたら付きます。(苦笑)
土曜日から大阪入りするので、余裕はないです。
あと、以下の「ハイキュー!!」本も持ってきます。
■あの日の賭け A5/20P/コピー/200円(2012/06/24発行)
及川×影山。主に中学時代中心。
今後の予定
●8月26日 GOOD COMIC CITY19
東5ホール「キ」31a 都屋(ハイキュー!!)
ハイキュー!!スペースですが、妖アパ本も持っていきます。
(今後から「都庵」が妖アパで「都屋」がWJ系)
通販再開はそのあと、8月下旬には開始したいと思います。
では、新刊のサンプル読む方は続きをご確認くださいませ~。
大阪に来る人はよろしくおねがいしま~す!
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[4回]
雨が続いた六月から、うって変ってギラギラした日差しが肌に痛い七月。お中元の注文がちらほらと来だし、忙しくなってきた剣崎運送でのバイトを終え、俺、稲葉夕士はまだ蒸し暑さの残る中、アパートへ戻ってきた。
「ただいま~」
玄関でいつも見送りしてくれる華子さんに、まずは挨拶。
「お帰りなさい」
朝顔柄のきものの何とも夏らしい華子さんに迎えられ、廊下にあがると、食堂から香ばしいいい匂いが漂ってきた。
匂いにつられて腹の虫がぐうと鳴る。働いた後だけに、俺の腹は正直だ。
荷物を置くのは後回しにし、食堂へ直行する。
「ただいまっス!」
扉を開けると、画家と佐藤さんとまり子さんが晩酌中だった。
「あ、夕士くん」
「お、勤労少年のご帰還か」
「おかえりー」
テーブルの上にはビールと鮎の塩焼きと胡瓜と茄子の浅漬け。
どうやらメインの食事は済んだ後のようだった。
「おや、お帰り。遅かったね。みんな先に済ませちまったよ」
台所から顔を出したのは桔梗さん。
「お中元が始まっちゃって、……腹ぺこっス」
俺が情けない声を出すと、すかさずるり子さんが焼きたての鮎の塩焼き(すだち添え)を出してくれた。
「どれ、じゃぁご飯は山盛りだね」
桔梗さんが山盛りご飯と玉ねぎとえのきの味噌汁を出してくれる。
「ほら、漬物も食いな」
画家からも漬物を貰い、俺は両手を合わせて少し遅い夕食をいただいた。
食べている間にも、るり子さんは蓮根の酢の物、ごま豆腐の辛子味噌掛け、茶碗蒸しを出してくれた。
まるで料亭のような料理の数々に、本当にうれし涙が出そうだ。
「うまいっす! このアユも最高!」
海の魚とは違う、川魚独特の香りが口に広がる。
「そのアユはね、またぎの又十郎さんが持ってきてくれたんだよ」
と佐藤さん。
「へぇ」
「アユだけじゃないぞ、食ったら居間のほうに行ってみろ。でっけぇ笹まで持ってきてくれて、今黎明とクリが飾り作ってるよ」
「あ、そっか。七夕……もうすぐでしたね」
「クリったら、夕士君が帰ってくるの待ってたんだけど、待ちきれないようだったから、先に一色さんが居間に連れてったの。私もこれ飲んだら参戦しなくっちゃ」
まり子さんはうまそうに喉を鳴らしてビールをあおった。
俺はというと、待っててくれたクリには悪いが、早食いするのはもったいないので、よく噛んで、味をかみしめて食事を済ませた。
食器を片付けて居間に移動すると、そこはさながら工作室のようだった。
テーブルの上に置かれた折り紙、千代紙、はさみにノリ。セロハンテープに穴あけパンチまである。
「やぁ、お帰り夕士クン」
「ただいまっス。すごいっスね、なんか本格的」
「本格的にもなるよ。縁側見てごらん」
半開きになっている障子をあけると、そこには大きな青々とした竹が横たわっていた。
「うっわ、でっけー」
「でしょう? 少々の飾りじゃ目立たないから、クリが張り切って飾り作ってるんだよ」
クリは一心不乱に詩人が切った三角形の小さな折り紙を貼り合わせている。新聞紙を敷いた机に乗り出すように手をのばし、糊のさらに指を突っ込んでは三角のてっぺんに糊を塗り、上から新しい折り紙を乗せてバンと叩く。余ったノリは新聞紙に広がるから汚れない。
「なかなかうまいじゃないかクリ」
頭をなでてやると、無表情なのに、クリは自慢げに胸をそらした。
「はじめは糊をべったりつけ過ぎて、くっ付かないって怒ってたんだよ」
「へぇ」
クリは近頃本当に表現豊かになった。特に長谷が泊まりに来るようになり、一緒に寝たり、一緒にご飯を食べたり、一緒にお風呂に入ったりするようになって、喜んだり、すねたり、いたずらしたりを覚えた。
最近じゃ、いずれしゃべりだすんじゃないかと思えるほどだ。
俺がグリグリと頭をなでていると、小さな手が俺の手をつかみ、一緒にやれと折り紙を渡してきた。
「はいはい、俺も作らせていただきます」
クリの横に並んで座り、俺は折り紙を手に何を作ろうか少し考えた。
俺が折れる折り紙といえば、不格好な鶴くらいだ。その点、妖怪の保育園の先生をしているまり子さんは、風船や船や切り込みを入れた提灯やら、いろいろな飾りを折りあげ、机の上に並べていた。ビール片手の酔っぱらいなのに、さすが本職といったところか。
詩人はひたすらクリ用に折り紙を三角に切っている。クリが作った、長く延びた三角飾りを見て一つ思いついた。
「よし。じゃぁ俺、輪飾りつくろ」
細長く切った折り紙で輪を作り、それを繋げるくらいなら俺でもできる。
「あ、いいねぇ」
「長いの作ってよ~」
「ウス」
「間に二三枚、千代紙はさむと綺麗よ」
「あ、なるほど」
折り紙を縦に八等分に折り目をつけ、6枚ほどまとめてハサミで切る。あとは輪っかにしてセロテープで繋げるだけの単純作業だ。
クリが机をたたくたび、切り置いておいた折り紙が風圧で飛んで、順番がばらばらになったが、それも長くなるにつれ、なかなかいい味を出している。
「どれどれ、私も参加しようかね」
桔梗さんがいろんな色の画用紙をもって参戦してきた。
「桔梗さんはそれで何を作るんっすか?」
「なんだと思うね? なくちゃならないものだよ」
そう言うと、桔梗さんは画用紙をまず三等分にし、短い方の端っこにセロハンテープを貼る。
「?」
まだ先の読めない俺。次に桔梗さんはセロハンテープを張った場所に、穴あけパンチで一つ穴をあけた。
「はい、これに糸をつければ出来上がり」
桔梗さんが作っていたのは願い事を書く短冊だった。
「あぁ、セロハンテープを貼ったのは、糸で切れないようにか……」
「そう。風で切れちゃ、願いがかなわないからね」
そういうと、桔梗さんは同じ色の短冊を三枚作った。
「一人一色と考えれば、一人三つ願い事ができそうだね」
「『星に願いを』……いいねぇ~。何をお願いしようかねぇ~クリ」
文字の書けないクリに詩人がきく。
問われたクリはちょっと小首をかしげるだけで、ノリでペタペタ貼る作業に戻ってしまった。
「クリにはちょっと理解できなかったか」
苦笑いの詩人。だが、まり子さんにはクリの願いがぴんときたらしい。
「クリたんのお願いは『長谷パパがはやく遊びに来ますように』だよね~」
クリは『長谷』の単語が出た途端、目を輝かせ、ノリでベタベタな手をパチパチと合わせた。それはまるでわが意を得たりというように。
そんなクリの素直な反応に、一同爆笑。
「そうだったそうだった。クリたんは長谷パパが大好きだもんね~」
「いつでも遊びに来てほしいもんね~」
「よし! じゃぁ俺が書いてやるよ。『長谷が早く遊びに来ますように』ってな」
さっそく出来たての短冊にペンで書いて見せると、クリはジャンプをして喜んだ。(文字は読めないんだろうがな:苦笑)
この愛らしい姿を長谷に見せてやりたい。きっと、二枚目台無しのデレデレ顔でクリに抱き着くだろう。
「なんか、盛り上がってるな」
騒ぎが食堂まで届いたのか、呑兵衛組が居間にやってきた。
「おっ、輪飾りだ。おいらも混ぜて~」
佐藤さんが加わり、輪飾りが三本になった。(すでに俺は一本作り終え、二本目に取り掛かっている)
「ほら、深瀬も手伝いなよ」
「へいへい」
詩人にせかされ、画家が短冊作りを手伝うことになり、あっという間に飾りの準備が出来上がった。
まずは横倒しにした笹に、クリが作った三角飾りを巻き付ける。そのあとに輪飾り、折り紙飾りという順につるした。
緑一色だった笹が、カラフルに彩られる。
「さて、あとは短冊だな」
画家は渡された短冊に、さらさらと迷いなくペンを走らせ、つるしにかかった。詩人も、迷うことなく画用紙に文字を載せる。
ここで俺もさらっと願い事が書けたらよかったんだけど、これが意外と思い浮かばない。
受験は終わったし、今ほしいものは特にないし、健康面も充実してるもんなぁ。
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と、こんなかんじで……前半ちっとも千晶が出てきません。(爆笑)
夕士はどんなお願いを書くのか……ご期待ください!
あと、作中夕士が誕生日を迎えます。
二十歳の誕生日です。
公式だと7月のいつかは定かじゃなかったと思うので
勝手に七夕の後って決めちゃいました。
あ、初めに書く忘れたけど、原作9巻でワープして
千晶と夕士が卒業後付き合ってる設定ですのであしからず。
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