とりあえず、なんとか入稿で来たので大阪のお品書きと小説サンプル。
時間なくてね・・・すみませんねって感じです。
★SUPER COMIC CITY関西19 6号館Cゾーン「て」6a 都庵
---お品書き---
補足:「Summary」は一度委託しましたが、それ以外は大阪初売りです。1年ぶりだもんね!
<妖アパ>古い順。ほぼ千晶×夕士。
■「Marriage riot」(12年10月東京発行)※残部少な目
A5/28P/カラー/300円
■「Summary」(12年12月東京発行)
A5/116P/カラー/1000円 ※R18
■「Love during a day」(13年3月東京発行)
A5/28P/カラー/300円
■「If~春の怪~」(13年5月東京発行)
A5/40P/カラー/400円 ※R18
■「If~夏の怪~」(13年8月大阪発行)★新刊★
A5/28P/カラー/300円
2色っぽいですがフルカラーです。
内容は原作5巻を読み返して作った本です。
夕士大学生設定のシリーズですが、単発読みでも十分いけると思います。
サンプルは「読んでみる」でご確認ください。
<ハイキュー!!>
●「The other day’s bet」(2013.03.17発行)及川×影山
A5/28P/カラー/300円 ※R18
●「金田一の受難」(2012.10.21発行)及川×影山前提の金田一×影山
A5/20P/コピー/200円 ※R18 残部少+無料配布本
<暗殺教室>
●「渚君と!!」(2012.12.30発行)カルマ×渚+殺せんせー×渚
A5/28P/カラー/300円 ※R18
当日は先着でオレンジボールペンとシャーペンを配る予定です。
文字入れようかと思ったんだけど、納期的にギリだったのと
自分が使うときのことを考えて、今回はモノだけにしました。(苦笑)
安心して会社でもどこでも使えますよ!(爆笑)
サークルチェックにでも使ってくださいねvvv
それでは、私は土曜日に京都酒蔵巡りをしてからイベントに参戦します!
大阪参戦の皆様、よろしくお願いいたします!!
あ、そうそう妖アパ外伝さらっと読みました。
感想やじっくり読むのはイベント後に楽しみたいと思います。
[5回]
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夏休み前の七月。俺、稲葉夕士は午前中に亡き両親の墓参りに出かけた。お盆のお墓参りというと、八月をイメージする人が多いと思うが、東京近郊のお盆は七月の十三日からだいたい四日間のことを指す。
昨夜、いとこの恵理子から電話がかかってきた。明後日の昼ごろみんなでお寺に行くから、一緒に行かないかと誘われたが、明後日は午後からバイトが入っているので同行は断って、前日の今日、一足先に両親にお線香をあげに行くことにした。
叔父さんや叔母さんの所へは、この一年ちっとも顔を出していなかったので、この時期でなければ、バイトの日程をずらして同行してもよかったのだが、いかんせん、この時期の運送会社はお中元シーズン到来で、べらぼうに忙しい。
運送会社でバイトをしている俺は、大学の講義のない時間や夏休みの予定はほぼ毎日シフトを入れている。最近は残業もしているようなこの状態での急なシフト変更は、周りに迷惑がかかるだろう。
この日差しの強い中、街中をかけずり回っての配達はかなりきついものがあるが、その分、バイト代は弾んでもらえるので、自活している俺にとってはいい稼ぎ時だ。
本来なら、今日もバイトを入れるところだったが、今日から明日の昼過ぎまではあらかじめ先約があったので、シフトを入れていなかった。
これ幸いと、待ち合わせの時間を午後にしてもらい、朝少し早めに家を出て、電車で一時間、バスに乗り換えてにさらに十五分ほど離れた、都内のはずれにある寺まで行ってきたところだ。
墓参りの帰り、地元の駅よりも少し手前の大きな駅で、俺は乗っていた電車を降りた。
駅の大きな時計の針は、一時半の少し前をさしている。約束の時間まで、まだ三十分はあった。
「そういや、昼飯まだ食べてなかったっけ」
ホームから階段を上がり、出口へ向かう間、おいしそうな出汁の香りが漂ってきた。
「晩飯はうまいもん奢ってもらえるだろうから、昼はこれでいいかな」
俺は迷わず駅中にある立ち食い蕎麦屋の暖簾をくぐった。
味はアパートのスーパー賄いるり子さん到底かなうものではないけれど、すきっ腹には十分だし、なによりできるのが早くて、お値段がリーズナブルなのが立ち食いそばの魅力だ。
ちゃちゃっと小銭で腹を満たして改札を出ると、まだ予定より十五分ほど早かった。
待ち合わせ場所は駅の周辺。着いたらどこら辺にいるかメールをする約束になっていた。たぶん約束の相手は車で来るだろうから、大通り沿いのどこかで待てばいいだろう。
駅ビルを抜け外に出ると、ギラギラした日差しに目を細めた。むわっとアスファルトから熱気が立ちのぼってくる。
「あっちー……」
周りを見渡すと、歩いているのは日傘に帽子の女性、上着を脱いだサラリーマン達、あとは日焼けした肌を露出した若い男女位なもので、その他の人々はみな日陰に避難していた。
「昼過ぎのこの時間、一番暑いんだよな……」
日陰でいくらか涼しい駅ビルに戻るか、このまま少し歩いてファーストフードに避難するか。どうしようか迷っていると、目の前をフレッシュジュースのカップを持った女子高生が通り過ぎた。
「あ、そういえば……」
少し歩いた大型書店の先に、以前レモネードの屋台があったことを思い出した。あれは高校三年生の夏休み、受験勉強の息抜きに訪れていた時だったか。その後千晶に会い、田代達に見つかり、まさか強盗事件に巻き込まれることになるなんて、あの時は思いもしなかったよな……。
ビルの影を選んで進み、大型書店を通り過ぎ、確かここら辺と思った場所に残念ながらレモネードの屋台は無かった。代わりに、すぐそばに小さなジューススタンドができていた。先ほどの女子高生たちが持っていたカップと同じ色ののぼりが出ており、簡易のパラソルが木陰を作っていた。
ここに来るまでにすっかりのどの渇いていた俺は、マンゴー&オレンジのLサイズを頼んだ。少し値段ははるが、がぶ飲みしたい気分だった。
ミキサーでかき混ぜられ出てきたジュースは、冷たく冷えていて、マンゴーの甘みにオレンジの酸味が絶妙なバランスで加わり、実に美味かった。
「ふーっ、生き返る~」
俺はジュース片手に、携帯電話を取り出した。そろそろ約束の時間なので、現在地を知らせようとメールの画面を開こうとしたとき、相手から着信があった。
「もしもし?」
『今どこだ?』
「本屋の先のジューススタンド」
『わかった。あと3分位でつく』
「了解」
どうやら、もうすぐ近くにいるらしい。
メールを打つ手間が省けた俺は、残りのジュースを飲み干した。電話の向こうでかすかにウインカーの音がしたから、やはり車で来ているのだろう。
俺は相手のために同じマンゴー&オレンジのSサイズを追加注文して、車道の方に歩み寄った。
街路樹の小さな影に身を寄せ、遠目に見覚えのある車を探す。車道はカンカンに照った日差しと車の熱で、うっすら陽炎のように揺れていた。ジュースのおかげで引いていた汗がジワリと肌に浮かんでくる。
「やっぱり、あっちーな……」
一人ぼやいていると、不意に後ろから肩を叩かれた。
振り向いてみると、そこには見知らぬ小さなおばぁさんが立っていた。茶色いスカーフを頭っからかぶったおばぁさんは、浅黒い肌に彫の深い顔立ちで、インドの民族衣装のようなものを着ていた。明らかに日本人ではない老婆は、俺に向かいニコリと笑いかけてきた。
つられて俺も笑顔を返すが、続いて話しかけてきた言葉は、まったく理解することができなかった。
「◎◎××~~~△△□□××」
耳になじみのない言語だったので、何語なのかもわからない。
「?」
なんだ? 外見からして、インド語か?
「あ~、スミマセン、言葉がわからないんですが……」
とりあえず日本語で答えてみると、老婆は少し困った顔をしてまたぺらぺらと何語かを話す。
観光客かとも思ったが、老婆は手ぶらだった。道を聞きたいのか、誰かとはぐれて迷子なのか……。
こんな時どうしたらいいんだったかとっさに思い浮かばない。とりあえず、唯一わかるかもしれない英語で俺も話しかけてみたが、老婆は首をかしげるだけだった。
「困ったなぁ……」
あたりを見回してみても、老婆と同じような人種の人間は見当たらなかった。
こうなったら、交番に連れていくしかないか?
確か駅前に交番があったはず。お巡りさんの中にインド語(仮)を話せる人がいるかは不明だが、ここにほおっておくよりはいいだろう。
そう思った矢先、丁度自転車に乗った巡回の警察官が向こうからやってきた。
「あ! スミマセン!」
警官を呼びとめておばぁさんを引き渡す。老婆はなおも俺に話しかけてくるが、俺は言葉が理解できないし、約束があるのでと、やはり老婆の言葉のわからない警官に保護をお願いした。
「どうした?」
いつのまにか車道に待ち人の車が止まっていた。
「おばぁさんに話しかけられたけど、言葉がわからなくて、今警察の人に引き渡したところ」
「ふ~ん、そうか」
「それより、ハイ。差し入れ」
俺は持っていたジュースを手渡した。
「おっ、サンキュー」
待ち合わせをしていた相手、俺の高校の時の元担任で現在付き合っている相手でもある千晶直巳は、カップを受け取り、早速喉を鳴らして飲み干した。
「はぁ、なんか生き返るな」
俺と同じような感想を口にする。
「なに、笑ってんだよ」
「いや、さっき俺も飲んだ時同じこと思ってたから、なんだかおかしくて」
助手席に乗り込み、シートベルトをすると、千晶は車を走らせた。
そう、今日は久々の千晶とのデートの日だ。だからあらかじめバイトのシフトを空けていた。
千晶とは、卒業してから月に一・二回は必ず合って、映画に行ったり、どこかに遊びに行ったり、ご飯を食べに行ったりしている。雨の日や疲れてる時は、千晶の家でお茶飲みながらだらだらしゃべったり、つぼマッサージをしてやったり。お互い忙しくて、会える割合がかなり低いが、今の所それなりにうまくやっている。
今月は頭の方に会う予定を入れていたが、千晶が期末試験の準備に忙しいのと、俺もレポートの課題が出ていたので、今日にずれ込んでいた。
「ひと月ぶりだな」
千晶がちらりとこちらに視線を投げてくる。
「少し焼けたな」
「おぅ。お中元の配達が始まったからな。半そで焼けしてる。腹とか真っ白で、風呂場ではアパートの住人にパンダって言われる」
「はは、そりゃいい。あとで確かめよう」
「そう言う千晶は全然焼けてねぇな。外出てねぇんだろう。そんでもって……どっちかというと、お疲れモード、だろ?」
俺は助手席で千晶の様子を観察していた。胸のあたり、身体的にダメージがあると、俺には黒っぽい靄が見える。今はつぼマッサージが必要なほどどす黒くはなっていないが、うっすら靄って見える。たぶん疲れているのだろう。幸い顔色は悪くないので、暑さ負けといったところか。
俺の『相性がいいと体のダメージが見えて、ヒーリングできると』いう特殊能力(今の所千晶限定)のことを知っている千晶は、どうやら図星だったらしく、小さくため息をついて肩をすくめた。
「昨夜遅くに、補導された一年坊主のおかげで、保護者交えての色々があったからだろ」
「それだけか~?」
「……あとは、まぁ、ここのところ暑過ぎて食欲は落ちてるかもな」
「やっぱりな。じゃぁ今日は食糧買い込んで、千晶の家でのんびりしようぜ。涼しい部屋でDVD見たりさ」
「そうだなぁ……ホラーものでもレンタルするか」
「え、ホラー? ……それはちょっと……」
「なんだ、苦手か? お前妖怪とか幽霊とかが住んでるアパートで暮らしてるくせに」
「そりゃ、傍から見たらお化け屋敷みたいな所に住んでいるけど、アレは慣れというか……。最初はビビったけど、害のあるようなモノはあんまりいないし、第一ホラー映画見たいな効果音はないから大丈夫なんだよ。だいたいホラーってあの音が怖いだろう、あと悲鳴とか、マジビビるって」
一度、長谷と映画館でホラー映画を見てしまい、その迫力に、もう二度とホラーは見ないと心に誓った俺だった。
そんな俺を見て、千晶がニヤリと笑う。
「なるほどな。稲葉はホラーが苦手か。よし、ホラーを借りよう」
「だからなんでそうなる!」
もし、借りようとしたら、絶対阻止してやる。
そんなこんなで、本日のデートプランは決まった。まずマーケットにより、今晩と明日の朝ごはんまでの買い物をし、レンタルショップに寄ってから、千晶の部屋でまったりのんびりだ。
「あ、そういやさっきのばぁさんの言葉……ヒンドゥー語だったな」
信号待ちで車を止めた時、千晶がぽつりと言った。
「千晶わかるのか?」
「いや、まったくわからんが、モナコのパーティーではインド人が結構いてな、そいつらが話してた言葉に似てた気がする」
「へーぇ。そういや、千晶って、若い時ヨーロッパを遊び歩いたんだって?」
「まぁな……大学生のころカジノで当ててあいつらと豪遊した時期があったからなぁ……」
「で、石油王に指輪を贈られたと」
「そうそう……って、コラ」
「千晶って、石油王といい、マサムネさんにカオルさんといい……、年上キラーだよな」
「それだけはお前に言われたくない」
「は?」
「いいか? 俺をはじめとして、お前の周りは長谷以外年上の男だらけだぞ? まず第一にアパートのみなさんはみんなお前より年上」
まぁ、妖怪とかオバケとか人外も総じて、たぶん俺より年上だろうなぁ。
「よく話に出てくるバイト先の社員さんもみんな年上」
大学以外はほとんど運送会社でバイトをしてるからな。
「それでもって、カオルにマサムネだ。特にカオル。お前カオルと会ったりしてるのか?」
「いや、たまに電話とかメールとかしてる程度だけど」
千晶のいとこのカオルさんは、中学で教師をしていて、千晶家三兄弟の末っ子である千晶の面倒をよく見てくれている人だ。持病もちで一人暮らしの千晶が、ぶっ倒れていないか様子を見に来たり、趣味で掃除をしたりしているらしい。
そのカオルさんとは、高三の夏休み、強盗事件に巻き込まれて千晶が入院する羽目になった時に俺は知り合った。その時に電話番号の交換をして、卒業後携帯を持つようになってからは、たまに千晶の様子をメールしてきてくれたり、電話してきてくれたりする。
千晶には内緒だが、俺からも、千晶が体調の悪いときは連絡をくれるように、お願いをしている。千晶によく効くつぼマッサージができるからと言う俺の言葉を、そのまま信じてもらえているかは謎だが、卒業後もプライベートでも会っていることを、カオルさんは知っているので、マメにメールをくれる。
電話の時は「ご無沙汰してるね、最近どうよ」といった具合で、近況を話したり、千晶をだしにして少し長話をしたりする。
そういうわけで、カオルさんとは千晶抜きでもたまに電話やメールをしあう仲だったりする。
「こないだ、カオルに自慢されたぞ。お前にモーニングコールしてもらっちゃったって」
「あぁ、それは……話の流れで明日の朝行事があって早いって言うから、じゃぁ俺朝早起きなんで電話しましょうかって事で……1回だけだよ」
「…………カオルにモーニングコールするくらいなら、俺にも電話して来いよな~」
千晶がむくれた。千晶って、たまに子供っぽいところがあるんだよな。十五も年上なくせに。
「別に千晶にもしてやってもいいけど、あんた低血圧で朝弱いじゃん。俺やだぞ、出たはいいが無言とかって」
「…………わかった。モーニングコールはあきらめる。その代り、明日の朝は優しく起こしてくれよ、ダーリン。ゆっくり朝寝したあとにな」
まったく、千晶は年下にも甘え上手で困ったものだ。
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