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都庵

現在は「妖怪アパートの幽雅な日常」「The MANZAI」の女性向け二次創作等の物置。オフラインの自家通販もやってます。

   

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千晶直巳誘拐事件(サンプル)

どうも、ごぶさたしてます。あみやです。

実はまだ入稿できてないんですが
あまりにもここを放置しすぎなので先にサンプルを
アップしたいと思います。
(これまだ8枚残ってんだけど、初めのほうは変更しないので…)

新刊は千晶×夕士です。
タイトルでどんな話か察しはつくと思いますが(苦笑)
まぁ、そんな話です。
タイトルは未定ですが、If~×××~って感じになると思います。
ページ数は今のところ52P
中身はこの話1本です。
頑張って書いてますんで、完成品をお楽しみに。
入稿できたら表紙アップしますね。


飯田さん>
本届いたようで、ご連絡ありがとうございます。
冬コミ是非お越しくださいませ。
新刊は一応年明け大阪に委託、その後通販開始しようと思います。


MMさん>
拍手コメントありがとうございます。
一日目の迷宮シリーズは西ホール「て-09a」です。
サークル名は『Biz&サイノスプラス』で
迷宮シリーズの本のみ置いていると思います。
当日は結城×アキラでコピー本の新刊を予定しています。
(これから書くんでまだ未定なんですが……苦笑)


--------------------------------

拍手[8回]




四月。その日は、新入生がどっと入ってきて、最初の土曜日のことだった。
例のごとく、休日出勤になった俺は、マイカーで条東商へ向かった。
高校デビューだかなんだか知らないが、制服を着たまま煙草を吸っているところを警察に見つかり、補導された新一年生が四人もいたための緊急職員会議があった。
毎年必ずへまするヤツがいるんだよな。そのたびに俺たち教師は、荷物検査をするだの全校集会をやるだのと会議をするわけだ。
「せっかくの土曜だってのに……」
俺が小さくため息をつくと、隣に座っていた高山先生が苦笑いした。
「まぁまぁ千晶先生、まだ今年は煙草だからいい方じゃないですか。去年は妊娠が発覚して自殺未遂騒ぎがあって、てんやわんやだったし……」
「まぁ、それに比べちゃ煙草くらい可愛いもんですがね……」
何も今日じゃなくてもいいだろうにと思う。
月初めの第一土曜日。本来ならば、今日は午前中から夕士とのデートを楽しむ予定だった。夕士が博物館のチケットを貰ってきたので、その展示会を見学して、そのまま海までドライブを楽しんで、美味しいものでも食べてと……色々事前に計画を立てていたわけだ。
日曜日はフルタイムのアルバイトが入っている夕士の、貴重な休みが土曜日だった。だから月の第一・第三土曜日は俺とのデート優先。そう決めた矢先だけに、余計無念に思う。
昨夜夕士に休日出勤の旨を電話で伝えると
「会議じゃ仕方ないよな。展示会はまだ先までやってるし、次回にしようぜ」
 などと明るく言ったものだった。
「悪いな、稲葉。そんなに長引かないと思うが……」
「いいって、気にすんなよ。じゃぁ、午前中は俺もバイト入れていいかな」
「あぁ、そうしてくれ。晩飯はうんとご馳走してやる」
「やりぃ♪ じゃぁ、終わりそうになったらメールしてくれよ」
「わかった。何食べたいか考えておけ」
「おぅ! じゃぁ明日な」
 文句の一つも無く、さわやかに電話を切る夕士。もう少しごねてくれてもいいんだがなと思うのは欲張りすぎか。どうやら俺は思いのほか夕士との逢瀬を楽しみにしていたらしい……。
 会議の後は、学年ごとのミーティング、昼休憩を挟んで遠足のプラン出し、前期中間試験の打ち合わせといった具合で、結局、午後までみっちり予定が入ってしまった。平日は何かと忙しいからって、なぁ……。
煙草をふかしながら、文科省からの通達やらアンケートやらに目を通しているフリをして、夕士にメールを送る。
『スマン! 午後まで伸びた。終わりは五時頃。待てるか?』
メールにはすぐに返信があった。
『了解。三時までバイト出て、その後駅周辺にいる。つきそうになったらまたメールよろしく!』



★ ★



剣崎運送でのバイトを終えた俺は、久々に本屋に寄って、文庫本を一冊買った。アパートにあった本を片っ端から読んでいて、気に入った作家の本をこうやって自分で買い足している。
千晶の仕事が終わるまで、あと一時間ある。今は特にレポートの課題は出ていないから、ここでのんびりと読書を堪能するとしよう。ここのところ忙しくて、読書をする暇が無かったから丁度いい。
外は日が翳り肌寒さが増してきたので、俺は某コーヒーチェーン店に入った。コーヒーを飲みながらソファに深く腰掛けて読書にふける。至福のひと時だ。
熱中して読み進めていると、不意に携帯電話が震えた。
開けてみると、案の定千晶からだった。
『今、学校を出た。どこにいる?』
俺はすかさず返信用の文字を打った。一年前携帯を持ち始めたときはたどたどしかった手つきも、今じゃ大分慣れたもんだ。
『今駅前の×××ってコーヒーショップ』
すると、返信はすぐに来た。
『了解、あと8分くらいでつけると思う』
「8分ね。……こまけぇな」
学校からここまで、車だとだいたい十分もあれば到着する。車の駐車スペースさえ見つかれば、あっという間だ。
俺は読みかけの本を閉まって、外で待つことにした。
一段と冷たくなった空気に体が震える。
駅前の大通り沿いには、路上パーキングがいたるところにあるが、土曜日ということもあり、かなりの数が塞がっていた。
「千晶、車止められるかな……」
コーヒーショップからあまり離れるわけにも行かず、しばらくガードレールにもたれて、行きかう車を観察していた。
「……忙しいなら無理に今日会わなくても、別の日でよかったんだけど……」
これを言うと、千晶は拗ねるので言わなかった。前に、同じようなことがあったとき、
「ゆっくり休みなよ、会うのは別の日にしよう」
と言ったら、ムスッとされた。
「友達づきあいならそれでいいが、もっとこう……俺に執着しろよ」
そう言うと盛大なため息を吐いたもんだ。
「楽しみにしてたのは俺だけってことか?」
 恨めしげな声に、あわてて俺は否定した。
「いや、俺も十分楽しみにしてたって! すっげー残念だけど、あんたの体を心配してんだよ」
「だったら看病に来てくれてもいいんじゃないのか?」
「……そ、そういや、そうだな……わかった」
なんて事があったので、会うと決めた日は何が何でも顔を見ることにしている。
具合悪そうだったらヒーリングしてやれるしな。
それに、やっぱり電話で声だけってより会って顔も見たいと思う。だから具合が悪かろうが疲れてようが、遠慮はしない。お互い忙しい身だから、会えるときは意地でも会う。
「お疲れモードなら肩もみでもしてやろう……」



★ ★



土曜日の道路はなにかと混んでいる。道を歩く人も多いし、タクシーも一般車両も多い気がする。道路沿いのパーキングも同様で、駅に近くなるにつれ、ことごとく埋まっている。夕士の指定したコーヒーショップの前にもパーキングはあるはずだったが……どうやら空きは無いようだった。
「少し先で停めるしかないか」
通り過ぎざま、夕士がガードレールに座っているのを見つけた。クラクションを鳴らそうかと思ったが、すぐ後ろに車もきていて、素通りするしかなかった。
信号を一つ挟んで五十メートルくらい通り過ぎ、やっと空きをみつけた。エンジンを切って時計を見ると既に予定の時間を五分過ぎていた。
「電話入れとくか」
携帯を取り出し、発信記録から夕士の番号を拾い、コールする。すぐに出ると思っていたが、つながった先は留守番電話だった。
「電話中か?」
とりあえず、今ついたこと、信号を渡った先に車を止めたことを吹き込んで電話を切った。
夕士が留守電のメッセージを聞くのが先か、俺が夕士を場所まで行くほうが早いか……。
「どっこいってとこだろうな……」
上着を羽織って外に出て、キーをロックすると、俺はガードレールを跨いで歩道に降りた。
昨晩、晩飯をご馳走すると約束をしていた。この辺だとなじみの店がいくつかある。アパートでは和食が多いと言っていたから、洋食メインの店にするか……中華って手もあるな。少し車で移動して韓国料理もいいが……。
そんなことを考えながら信号待ちをしていると、道路を挟んだ向こう側に夕士が見えた。夕士の方からは、まだこちらに気づいていないのか、携帯の画面を見ているようだった。
「今頃留守電に気が付いたって感じだな……」
遠目に見える恋人の姿に目を細めていると、目の前に黒いバンが止まった。中から出てきたのはダークスーツにサングラスをかけた大柄の男が二人。一人はウエーブのかかった黒髪に浅黒い肌、もう一人はいかにも白人といった明るいブラウンの髪に口ひげ。どちらも屈強な体つきの男達だった。二人は俺の前へ来ると英語で話しかけてきた。
『あなたはナオミ・チアキか?』
緊張が走った。俺が誰だか知っていての質問だった。面識の無い相手にわざわざ「はい、そうです」と答えてやる必要は無いので、俺は首を振った。
『我々は時間が無い。悪いが付き合ってもらう』
勝手なことを言う外人が、俺に手を伸ばそうとしてきた。とっさに後ろに下がったが、信号待ちをしていた老婆にぶつかってしまった。
「あ、すいません」
よろける老婆に手を出したところで、黒髪の男につかまる。
「ちっ」
これから夕士と飯を食いに行くってのに。
騒ぎは起こしたくなかったが、人通りのある交差点で堂々と手を出してくる者を相手に、手加減も何もあったもんじゃない。
ここは防犯ブザーを使うしかないか?
でも、大事になったら、また夕士との貴重な時間が削られることになる。
一瞬の迷いのスキに、もう一人の男が俺の懐にもぐりこみ、俺は肩に抱えられていた。ふわっとからだの浮く浮遊感に、しまったと思ったときには、もう車の中に担ぎ込まれていた。
「おい! 何をする!」
声を荒げる俺にかまわず、男達の乗り込んだ車は発進した。車の中には二人の男のほかに運転手がいた。こちらもサングラスこそしていないが、黒いスーツの見るからにアラブ系の顔立ちをしている。両側の男が三十代なら、運転手の男はまだ二十代といったところだろうか。
『私たちは怪しいものじゃない。私たちのボスがあなたに会いたいと言っている。ボスはあなたの知り合いだ』
黒髪の方が英語で話しかけてきた。
こんなまねする知り合いを持った覚えは無いと、言い返してやりたかったが、英語が通じないと思わせておいたほうが、後々いい事もある。俺はにらみ返すだけにした。
『車のキーを』
俺が首をかしげ聞き取れないそぶりを見せると、伝わっていないと思い込んだ男は、俺の上着のポケットをまさぐった。
「おい、止めろ!」
わざと日本語で不快をあらわにすると、もう一人が俺の両手を拘束した。
まぁ、この状態じゃ、抵抗しても無駄なんだろうが……。
ポケットから携帯電話と車のキーを探し当てた男は、携帯の電源を切って自分のポケットに入れた。
『これは預かっておく。ボスの元へ着いたら返す』
そう言い残すと、信号待ちで止まった瞬間に車の外へ出て行った。
俺の車のキーなんて持って、何をする気だ?
「心配ナイ。コレカラ行クホテルマデ、彼ガ運転スル」
運転手の男が日本語で話しかけてきた。イントネーションは少し癖があるが、日本語は理解しているようだ。
「向かっているホテルってのはどこなんだ?」
ためしに日本語で聞いてみると、都心にある大手高級ホテルの名前が帰ってきた。
どうやらこの誘拐の首謀者は、そうとう金持ちらしい。そして、本当に俺の知り合いなのだろう。車に乗せるときはやや乱暴だったが、車内では手を縛ることも口をふさぐことも、目隠しをすることも無い。危害の心配が無いのなら、そうピリピリしなくてもよさそうだ。
「あんた達の雇い主ってのは、いったい誰なんだ?」
運転手の男はちらりとバックミラーで俺を見ると、首を振った。
「サプライズ。答エラレナイ」
「……」
-------------------------

こんな感じで物語は進んでいきます。
千晶視点と夕士視点をいったりきたり。

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