カウントアップ

久々の更新。

ようやっと入稿したので、新刊のご案内と、ちょっとチラ見せです。

◆If～graduation～　A5/カラー・オフ・52P/500円
「卒業」テーマの本です。
ゲストさん２名にも、卒業縛りで書いてもらいました。
（夢月さんに長谷×稲葉、日月さんに千晶×稲葉）
おかげで、ちゃんとオフの本になったよ～～～。
千晶×稲葉７割、長谷×稲葉３割くらい。
またちょっと千晶に偏りぎみ……

本当は長谷×稲葉と千晶×稲葉２冊に分けるはずだったんだけど
ちょっと無理でした。
締め切りもね・・・。超ぎりぎり。仮病使って会社休んだし。（苦笑）
でも、いいんだ。STは落としちゃったけど（おい）ちゃんと新刊を机に並べられる～♪

表紙はYOROZU進化論のBBSに画像が上がってます。
今回は卒業がテーマなのでサクラっぽくピンク？とも思ったのですが
前の本がバレンタインでピンクだったので新緑の緑にしてみました。
フリーハンドで描いたわりに葉っぱが可愛くできたかな……と。
でも、描くときペンで書かずボールペン書き殴りだったので、
スキャナで取り込んだときガタガタ具合がそのままでちょっと失敗。
ま、過ぎたことはしょうがない。（苦笑）


さて、これからペーパー用長谷×稲葉小ネタを考えてSTの悪あがきします。

そうそう、通販無事締め切りました。発送も全て完了です。
ご利用ありがとうございました。
次回再開は５月イベント後に再開いたしますね。

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俺は無事大学試験に合格し、４月から晴れて大学生になると決まった。
無事卒業式を終えた翌日。バイトを休み、俺はかねてより長谷と出かける約束をしていた。
今日は、携帯電話を買いに行く。
卒業＆入学記念に携帯電話を買おうと、前々から思っていた。高校時代、自分的には無くてもさほど苦労しなかったが、回りはそうでもなかったようだ。
卒業式の日、メアドの交換しようと何人もの人に声をかけられた。俺が携帯を持ってないというと、そのたびに、みんなメモ用紙にちまちまと携帯番号とアドレスを書く羽目となった。
「稲葉～、携帯持とうぜ～」
桂木に泣きつかれた。
「悪い、バイト代たまったから、今度買いに行くよ」
普通科のアスカたちも、メモにアドレスを書いていく。
「携帯買ったらちゃんと連絡先よこせよ」
「おう」
田代、桜庭、垣内の姦し三人娘は、俺が携帯を持っていないことを重々承知していたため、自分達のプロフィール用紙持ってきた。
「はい稲葉。ちゃんと連絡してくんのよ。今日撮った写真、プリントしておくから」
「うん、サンキュー」
「稲葉クン、アパートの電話も一応教えて」
「はいはい」
「アパートって、管理人さんが出るの？」
「いや、管理人はいないんだ。住人の誰かがとってくれると思う」
そんな会話をそこかしこでして、俺達は名残を惜しみつつ別れた。必ず来年の文化祭には会おうと約束をして。
そして、今日。やっとその携帯電話を選びに行く。
自分ひとりで買いに行っても良かったんだけど、俺は携帯の機能とか情報にうといから、使い慣れてる長谷と一緒に行くのが適切だと思って、一週間前に長谷に電話を入れた。俺が携帯電話を持つことに一番悦んだのは、きっと長谷だ。
「やっと、おまえも持つ気になってくれたか！」
「うん。二月の試験終わってから、ずっとバイト入れてたから、めど立ったんだ」
「そうか。これで、長電話もできるな。アパートの呼び出し電話じゃ、長時間使ってられなかったし、時間帯も限られたしな」
「俺は不自由感じなかったけどな」
「おまえはね。俺が毎週のように手紙書いていた努力のおかげだ。一年の時なんて毎週手紙だしてんのに、一ヶ月に一回帰ってくればいいほうで、どんだけ心配したことか」
「うっ、すまん。でも今はおまえ容赦なくアパートに出入りしてるじゃないか」
「今はな。でも、携帯があると便利だぞ。待ち合わせとか、電車の時刻表調べたりとか」
「あ、それ便利だよな」
「だろ？　カメラも付いてるし、音楽携帯なら音楽プレイヤーの代わりにもなる。ワンセグテレビだって見れるものもあるぜ」
「へぇ～」
そんな会話をしていたのが一週間前。
午前中ちょっと用事がある長谷の時間に合わせて、昼時に駅前で待ち合わせをした。
昼飯を長谷がおごってくれるというので、ファミレスによってからショップへ向かう。
「さて、どこの通信会社が良いかな。希望は？　って言っても、わからんか」
「まったくわからん。長谷と同じところで良いよ」
「そうだな。同じ通信会社同士だと割引になるプランもあるからな」
「へぇ、そうなんだ」
俺達は駅からそう離れていない、ショップへ入った。
カウンターと、いろんな機種が並んでいるブースがある。俺達はブースへ近づき、物色を始めた。
すぐに店員が出てきたが、長谷がそれを制した。
「まず形から入ってみろよ。好みのデザインのヤツ、探してみな」
俺は棚を片っ端から見ていった。どれもコレも、カラフルで、大きさも、厚みも違う。新作は五桁の値段、多分新作ではなさそうな機種には、なんと三桁の表示が付いていた。
「な、なんか、凄い値段に差が有るんだな」
「まぁ、消耗品みたいなもんだから、移り変わりがはげしいんだ」
「ふ～ん」
　俺はできるだけ機能の付いていない、メタリックシルバーのとブラックの組み合わせの一つを選んだ。決め手は薄さと安さ。色合いも落ち着いている。（中には蛍光色に近い色だったり、赤や柄物なんかもあったが……あれは持ち手を選ぶよな～）
長谷はざっとボタンを操作して動作確認をした。
「ふーん、いいんじゃない？　機能少ないみたいだけど、ワンセグとか音楽聴いたりしないなら丁度良いと思う」
「そっか。じゃ、決めちゃおうかな」
カウンターに移動して、店員にいろんなプランを聞く。初めてだから思うのかもしれないけど、プランってけこういろんなのがあるんだな。家族割りとか、深夜割引とか、特定の番号へかけるときは通話料がただになるとか、そんなプランをいくつも紹介された。
「う～ん……一番安いプランでいいや」
「おまえの場合、メールと写メができればそれでいいもんな。付加サービスはとくに無しってことで」
「おう」
結局俺は、学割プランをつかいつつ特定電話が安くなるプランを選んだ。契約書にサインして、携帯電話は俺の手元へやってきた。
　その後、文房具とかの買い物をしてからアパートへ戻った。途中喫茶店に入った長谷は、操作方法のわからない俺から携帯を奪い取ると、さっさと自分のプロフィールを赤外線通信でうつした。
「稲葉、アドレス登録、俺一番でいい？」
「ん？　もちろん。そのつもりだったし」
「そっか。フフン」
長谷は上機嫌で俺のアドレス帳に自分の番号を登録した。まっさらな携帯のメモリーに長谷のデータだけが入っている。
「赤外線通信って便利だな」
「いちいちアドレス入力したりしなくて良いから、便利だよ」
「あぁ。だから、みんなアドレス書いたりするの面倒くさがってたのか」
「ま、そんなとこだろうな」
「ってことは、俺はあいつらからもらったアドレスや携帯電話号をちまちまこれに入力しなくちゃいけないってことか？」
「そう。と、言うことで、説明書読む前に、簡単に説明しとくぜ。メールアドレス設定して、俺の携帯にもおまえのデータを入れなきゃならんからな」
「おっと、そうだった」
喫茶店でコーヒーを飲みながら、どんなアドレスにするか長谷と一緒に悩んだ。短かったり簡単だと、迷惑メールが多いらしい。
「クリママ（kurimama）なんてのどうだ？」
　長谷がまじめに提案した。
「は？　何言ってんのおまえ。じゃぁ、おまえクリパパ（kuripapa）にアドレス変えんのかよ」
俺が切り替えす。
「あ、それいいかも。パパはクリＬＯＶＥとか……」
　長谷は本気で携帯電話を取り出した。
「こら！　よくねぇ。本気にするなよ」
俺はあわてて長谷の携帯を取り上げた。クリの話題になると、とたんに超親バカになるんだから、ホント油断ならねぇ。
結局、名前とアパートの名前「寿荘」をもじってアドレスを作った。（そう、アパートの名前は寿荘。妖怪アパートではない）
　その後、長谷とは夕食を食べてから別れた。


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新刊よりチラ見せ。
「カウントアップ」の冒頭の長谷稲葉パートから抜粋。
ちなみに新刊にはこの前の話「カウントダウン」があります。
そっちは卒業前の話だから千晶と稲葉だけ。
カウントアップこの後長谷のメール調教（？）があって
そのあと千晶について稲葉がうだうだと悩んで……
ま、その辺はオフでご確認ください。（苦笑）